「蔵を片付けていたら、刀が出てきてしまった」。実家じまいや遺品整理の途中で、思いがけず一振りと向き合うことになる人は少なくありません。
刀剣は、値段を調べる前に確かめることがあります。刀と一緒に、A5サイズほどの紙が入っていないでしょうか。銃砲刀剣類登録証という書類で、これがある刀だけが手元に置け、人に渡すことも売ることもできます。見当たらない場合は、車に積んで店へ持ち込むより先に、警察署へ連絡するのが正しい順番です。
金額の目安はこうなります。作者の名前が刻まれ、鑑定書もそろった刀なら20万〜50万円台。無銘の脇差や短刀は2万〜5万円台が中心です。錆が浮いていても、刀身が健全なら値がつきます。旧軍の軍刀は、中身が日本刀か機械打ちかで桁が変わるところ。
刀は重く、鞘が長く、抜き身に見えないよう包んで運ぶ気遣いも要ります。電車で持ち歩けば周囲を驚かせますし、車に積んでも扱いに神経を使うもの。店頭に運ぶ前に、自宅まで来てもらう出張買取を並べて考えてみるのもひとつです。
この記事では、在銘か無銘かで変わる買取金額、登録証が見当たらないときに踏む届出の順番、売った後に残る手続きまで整理しました。読み終える頃には、家の一振りを誰に預ければいいか見当がついているはずです。
この記事を読んでわかること
- 在銘・無銘・軍刀・刀装具それぞれの買取金額の目安
- 登録証のない刀が出てきたときに、どこへ何を届け出るか
- 売った後に20日以内で必要になる手続き
- 錆びた刀や刀身だけの品でも値がつく条件
- 刀を運ばずに済ませる売り方と、個人売買が難しい理由
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日本刀・刀剣の買取相場|銘・鑑定書・状態で分かれる買取金額
刀剣の買取金額は、数千円から数百万円まで開きます。分かれ目は3つ。作者の名前が刻まれた在銘か無銘か、日本美術刀剣保存協会の鑑定書があるか、そして錆や刃こぼれの程度です。名の知れた刀工の在銘であれば、100万円を超える取引も珍しくありません。
区分ごとの金額を、上から順に並べます。
| 刀剣の区分 | 買取金額の目安 |
|---|---|
| 重要刀剣・名工の在銘 | 300,000〜1,500,000円 |
| 特別保存刀剣(在銘) | 200,000〜500,000円 |
| 保存刀剣・江戸期の在銘刀 | 70,000〜200,000円 |
| 無銘の刀・脇差・短刀 | 15,000〜100,000円 |
| 軍刀(刀身の種類で変動) | 30,000〜500,000円 |
| 鍔・目貫などの刀装具 | 1,000〜300,000円 |
| 錆身・刃切れ・模造刀 | 買取不可〜10,000円 |
刀剣は骨董の中でも、値段の幅がとりわけ大きい品物です。同じ「錆びた古い刀」に見えても、茎(なかご)に刻まれた二文字で百万円単位の差が出ます。掛軸や茶道具を含めた種類ごとの金額は骨董品買取の相場記事にまとめてあるので、床の間や蔵ごと片付けるならあわせて見てみてください。

品目別の買取相場|刀・脇差・短刀・槍・薙刀・刀装具
まずは手元の品の形から金額を引けるよう、種類ごとの帯を並べます。刃長でおおよそ分かれていて、60cm以上が刀と太刀、30〜60cmが脇差、30cm未満が短刀。柄の長いものが槍と薙刀です。
| 品目 | 無銘・状態並 | 在銘・鑑定書あり |
|---|---|---|
| 刀・太刀(60cm以上) | 30,000〜100,000円 | 200,000〜1,500,000円 |
| 脇差(30〜60cm) | 15,000〜45,000円 | 50,000〜300,000円 |
| 短刀(30cm未満) | 15,000〜30,000円 | 60,000〜120,000円 |
| 槍・薙刀 | 15,000〜50,000円 | 50,000〜200,000円 |
| 軍刀 | 30,000〜100,000円 | 100,000〜500,000円 |
| 鍔・目貫などの刀装具 | 買取不可〜5,000円 | 20,000〜300,000円 |
同じ作者・同じ時代なら、脇差や短刀は刀の4〜6割に落ち着くのが通例です。ただし名の残る刀工の作となれば、短刀でも刀と並ぶ金額がつきます。ここから先は、その差を生む中身を順に見ていきます。
在銘で鑑定書のある刀は20万円台から
作者の銘があり、日本美術刀剣保存協会の鑑定書がそろった刀は、20万〜50万円台が目安になります。重要刀剣に指定されるほどの一振りなら、100万円を超える例も。正宗・虎徹・助広といった名の通った刀工になると、ここからさらに上の帯に入ります。
銘が刻まれているのは刀身ではなく、柄を外した中の部分。茎と呼ばれる箇所で、目釘を抜かないと見えません。分解に慣れていないなら、無理に開けず査定の場で見てもらうほうが安全です。
| 区分・刀工の例 | 市場での売値相場 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 特別重要刀剣・名物級 | — | 5,000,000円〜 |
| 重要刀剣・有名刀工の在銘 | 1,000,000〜3,000,000円 | 300,000〜1,500,000円 |
| 現代の名工(河内國平・月山貞一) | 1,000,000〜2,000,000円 | 500,000〜1,300,000円 |
| 特別保存刀剣(在銘の打刀) | 400,000〜800,000円 | 200,000〜500,000円 |
| 保存刀剣(在銘の打刀) | 200,000〜400,000円 | 70,000〜200,000円 |
| 在銘・鑑定書なしの江戸期の刀 | 150,000〜300,000円 | 100,000〜150,000円 |
鑑定書は日本美術刀剣保存協会が発行していて、下から保存刀剣・特別保存刀剣・重要刀剣・特別重要刀剣の4段階。等級が上がるごとに金額の下限が引き上がります。刀に付いていた紙をまとめて捨ててしまう前に、この名前が入っていないか確かめてみてください。
江戸期に格付けされた呼び名が残っている刀もあります。切れ味で分けた業物の位、由緒ある一振りを指す名物といった評価で、最上大業物に数えられる刀工の作は同じ時代のなかでも別格に扱われます。

手元に鑑定書がなくても、あとから取れば高く売れるとは限りません。審査料は保存刀剣で4万円台、特別保存刀剣で5万円台、重要刀剣になると30万円を超えます。売却のために自分で申請すると、上がった分を手数料が食う結果になりがちです。持っている紙を渡すだけで十分と考えてください。素材そのものに法の網がかかる品という点では珊瑚の買取相場も似た注意が要ります。
古刀・新刀・新々刀で価格帯が変わる
刀剣は作られた年代で4つに区切られ、古い時代のものほど残っている数が少なくなります。平安時代から1596年までが古刀、そこから1780年頃までが新刀、1781年頃から明治9年の廃刀令までが新々刀、それ以降が現代刀という区分です。
古刀のうち、山城・備前・相州・大和・美濃の五つの産地は五箇伝と呼ばれ、三条宗近や長光、正宗といった名の残る刀工を輩出しました。産地が絞れる刀は、無銘でも評価が上がります。
| 時代区分 | 年代 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 古刀(在銘・五箇伝の刀工) | 平安〜1596年 | 150,000〜1,500,000円 |
| 古刀(無銘) | 平安〜1596年 | 30,000〜150,000円 |
| 新刀 | 1596〜1780年頃 | 100,000〜500,000円 |
| 新々刀 | 1781年頃〜明治9年 | 70,000〜300,000円 |
| 現代刀(人間国宝・無鑑査) | 明治9年以降 | 300,000〜1,300,000円 |
| 昭和期の量産刀 | 昭和 | 30,000〜100,000円 |
古いほど高いとは限りません。新々刀の水心子正秀や源清麿のように、時代が新しくても高く評価される刀工がいます。同じ現代刀でも、人間国宝の作と戦時中の量産刀では十倍以上の開きが出ます。同じ武家の蔵から出る品では甲冑の買取相場も帯が近いところです。
無銘の刀・脇差・短刀は2万〜5万円台が中心
銘のない脇差や短刀でも、刀身が健全なら2万〜5万円台で買い取られています。無銘は「価値がない」ではなく「作者を特定できていない」という状態。磨り上げといって、時代が下るときに茎を切り詰めて銘が消えた刀も多く、出来がよければきちんと評価されます。
刃長で呼び名が変わり、おおよそ60cm以上が刀、30〜60cmが脇差、30cm未満が短刀。長いほど高いとは限らず、地鉄の詰まり具合と刃文の出来で判断されます。
| 品目 | 落札相場(実売) | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 無銘の刀(打刀) | 60,000〜100,000円 | 30,000〜100,000円 |
| 在銘の脇差(備前長船など) | 19,000〜311,000円 | 20,000〜100,000円 |
| 無銘の脇差 | 17,000〜78,000円 | 15,000〜45,000円 |
| 在銘の短刀 | 58,000〜120,000円 | 30,000〜60,000円 |
| 無銘の短刀 | 25,000〜70,000円 | 15,000〜30,000円 |
| 槍・薙刀(無銘) | 30,000〜80,000円 | 15,000〜50,000円 |
同じ無銘の脇差でも、1万7千円で終わる品と7万8千円がつく品が並びます。差になるのは刃文の見どころと、白鞘に入っているか裸のままかという保管の丁寧さ。備前長船のように産地が絞れる作なら、無銘でも30万円台の取引が出ています。

槍と薙刀は柄を外して刀身だけで残っていることが多い品です。柄がなくても登録の対象で、買取も受け付けています。長さがあるぶん運搬に困りやすく、家で見てもらうほうが扱いやすい品目でもあります。
軍刀・刀装具は中身と外装を分けて見る
旧軍の軍刀は、外装が同じでも中身が日本刀か機械打ちかで金額が一桁変わります。下士官用の九五式は3万〜30万円、将校用の軍刀は刀身次第で5万円から数百万円まで。祖父の家から出てくる一振りは、この見極めがそのまま金額になります。
軍刀も刀身が金属であれば登録の対象です。海軍の短剣や、儀礼用の指揮刀サーベルは形が近くても別扱いになるため、まとめて出して仕分けてもらうのが早道でしょう。
| 種類 | 落札相場(実売) | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 九五式軍刀(下士官刀) | 100,000〜400,000円 | 30,000〜300,000円 |
| 九八式・将校軍刀(日本刀身) | 200,000〜800,000円 | 50,000〜500,000円 |
| 海軍軍刀・拝領の短剣 | 100,000〜500,000円 | 50,000〜350,000円 |
| 指揮刀・儀礼サーベル | 9,000〜14,000円 | 5,000〜15,000円 |
| 軍刀拵・外装のみ | 28,000〜46,000円 | 10,000〜30,000円 |
外装だけで3万〜4万円台がつくことからも分かるとおり、軍刀は部品にも需要があります。刀身が抜かれて鞘と柄しか残っていない品でも、まとめて処分に回す前に見せてみる価値はあります。
刀装具は刀本体と切り離して売れる分野です。鍔・目貫・小柄・笄といった小物で、桐箱に別々にしまわれている家も多いところ。こちらは登録証が要りません。
| 刀装具の区分 | 落札相場(実売) | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 名工の在銘鍔・保存刀装具 | 88,000〜163,000円 | 40,000〜300,000円 |
| 江戸期の象嵌・彫金の鍔 | 10,000〜27,000円 | 5,000〜20,000円 |
| 無銘の鉄地鍔 | 100〜6,500円 | 買取不可〜3,000円 |
| 目貫・縁頭(金工の作) | 7,000〜30,000円 | 5,000〜60,000円 |
| 大小拵え・金具一作 | 160,000円前後 | 60,000〜120,000円 |
金の象嵌が入った目貫は、小さくても数万円で評価されることがあります。梅雨時に赤錆が出ると彫りの線が甘くなるため、桐箱ごと湿気の少ない場所に移しておくと安心です。

登録証がない刀・錆身は手続きしてからの金額になる
登録証のない刀は、届出を済ませて登録を受けるまで売買できません。金額を調べるより先に手続きが要る区分です。登録さえ通れば、他の刀と同じ基準で査定を受けられます。買取業者もこの点は同じで、福ちゃんも登録証のない刀剣は原則として断ったうえで、登録できれば買取可能と公表しています。
錆については、思うほど絶望的ではありません。表面が黒っぽく曇る程度なら、研ぎ直せば戻る範囲。刃に食い込んだ赤錆や、刃切れと呼ばれる横向きの割れが入ると評価が落ちます。
| 状態 | 買取金額の目安 |
|---|---|
| 登録証なし・刀身は健全 | 登録後に30,000〜300,000円 |
| 薄錆・曇りのある在銘刀 | 50,000〜150,000円 |
| 全面の赤錆・刃こぼれ多数 | 10,000〜50,000円 |
| 刃切れ・折れ・刀身のみの断片 | 買取不可〜10,000円 |
| 模造刀・美術刀(刃なし) | 買取不可〜5,000円 |
| 現代の居合刀(状態良) | 5,000〜30,000円 |
錆を落とそうとして紙やすりや研磨剤を当ててしまうと、そこで価値が終わります。刀の研ぎは専門の研師の仕事で、素人が触った跡は元に戻せません。売る前に自分で研磨を手配するのも、費用が数十万円かかることを考えると割に合わないでしょう。
ここまでの金額を並べると、刀剣は「在銘か無銘か」より先に「登録証があるか」で扱いが分かれると分かります。まずは紙の有無を確かめる。話はそこからです。
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刀が出てきたら最初に確認すること|銃砲刀剣類登録証と届出
刀剣は、銃砲刀剣類所持等取締法によって扱いが決められています。刀・脇差・短刀・槍・薙刀は、銃砲刀剣類登録証が交付されたものだけ手元に置け、譲ることも売ることもできます。登録証がない刀を持っているだけで法に触れるため、見つからないときは運び出す前に警察署へ連絡してください。
制度の内容は改定されることがあります。以下は2026年7月時点の一般的な手順になります。実際に動く前には、最寄りの警察署か都道府県の教育委員会の案内で最新の手順を確かめてください。
登録証は刀に付いてくる紙で、刀と一緒に渡す
登録証は持ち主ではなく刀そのものに対して交付されるため、売買や相続で人が変わっても効力が続きます。刀を渡すときは、この紙も一緒に渡すのが決まり。白鞘に紐で結わえてある、桐箱の底に折りたたんである、仏壇の引き出しに別置きされているなど、しまい場所は家によってさまざまです。
交付元は都道府県の教育委員会で、番号・種別・長さ・反り・銘が記載されています。古い時代の様式のものも有効で、書き換えの必要はありません。

紛失した場合は再交付の手続きがあります。紙がないまま買ってくれる相手を探すより、正規の手順で取り直すほうが早く、金額の面でも結局は得です。盗難や火災で刀そのものを失ったときは亡失の届出、引っ越しで住所が変わったときは住所変更の届出と、場面ごとに手続きが用意されています。
登録証がない刀は、運ぶ前に警察署へ発見届
登録証が見つからない刀は、所轄警察署の生活安全課に連絡し、発見届を出すのが最初の一歩です。電話で事情を伝えれば持参の方法まで教えてもらえます。届出を済ませると刀剣類発見届出済証が交付され、ここで初めて手元に置ける状態になります。
届出は発見した本人か、その家族が行う決まりです。買取業者や知人に代わりに行ってもらうと処罰の対象になるため、ここだけは自分で動く必要があります。持ち物は身分証明書、印鑑、そして登録証のない刀剣類。
その後、都道府県の教育委員会から登録審査会の案内が届きます。指定の日時に刀と発見届出済証を持参して鑑定を受け、問題がなければその場で登録証が交付されます。手数料は6,300円。
没収されるのではと身構える人もいますが、届け出たから取り上げられるという話ではありません。むしろ届けずに持っていることのほうが、家族に面倒を残します。
売った後は20日以内に所有者変更届
相続・譲渡・売買で持ち主が変わったときは、新しい所有者が20日以内に届け出る決まりです。提出先は、その刀を登録した教育委員会。所有者変更届出書に登録証のコピーを1枚添えて、郵送か電子申請で送ります。
買取業者に売る場合、この届出をするのは受け取った側です。手続きに慣れた業者なら説明もその場でしてくれます。逆に、登録証の扱いに触れないまま話を進める相手は避けたほうが無難でしょう。
亡くなった家族の刀をそのまま持っている場合も、相続した時点で届出の対象です。売る売らないに関わらず、一度確認しておくと落ち着きます。
模造刀・居合刀は登録の対象外
刃の付いていない模造刀や美術刀、現代の居合刀は登録証が要りません。刀身が非金属のものや、拵えだけが残っている品も同じ扱い。土産物として売られている日本刀の形をした置物も、この区分に入ります。
見分けが難しいのは、亜鉛合金の模造刀と本物の錆身が並んで出てきたとき。磁石を当てる、重さを比べるといった素人判断で結論を出さず、警察署に相談すれば無料で確認してもらえます。
火縄銃が一緒に出てきたときも同じ制度
蔵から火縄銃や短筒が出てきた場合も、刀と同じ銃砲刀剣類登録証の対象です。古式銃と呼ばれ、教育委員会の登録を受ければ美術品として持てます。登録証がなければ、こちらも警察署への届出が先になります。
刀と一緒に出てきやすいのは、甲冑・陣笠・火薬入れ・鉄砲の玉といった武具一式。甲冑や陣笠は登録の対象ではないので、そのまま査定に出せます。仕分けに迷うものが混ざっているなら、まとめて見てもらったほうが早く片がつきます。
手続きの話をまとめると、確かめる順番は「登録証はあるか」「なければ警察署へ」「売った後は20日以内に届出」の3つ。この順番さえ守れば、刀を手放すのに難しいところはありません。
日本刀の買取金額が伸びにくい3つの理由
期待より低い金額を告げられる背景には、はっきりした事情があります。刀を扱える人が減ったこと、真贋の判断に手間がかかること、そして持ち込んだ先が刀を売る先を持っていないこと。この3つを知っておくと、どこへ出せばいいかの判断がつきます。

研ぎ直しや手入れに費用がかかる
錆びた刀を商品として並べるには、研師による研ぎ直しが要ります。研磨の料金は刀身1寸あたり6,000〜10,000円が目安で、2尺3寸ほどの刀なら20万円前後。買い取る側はこの分を先に引いて金額を出します。同じ在銘でも、研ぎが生きている刀と曇った刀で開きが出るのはそのためです。
白鞘の内側に汚れが溜まっていると、そこから錆が回ります。長く放っておいた刀ほど、手入れの費用を見込んだ金額になりやすいところ。
真贋の判断に時間と責任がかかる
刀剣は有名刀工の銘を写した品が古くから出回っていて、銘だけで金額を出せません。正宗や虎徹の名が刻まれていても、後世に切られた銘であることが少なくないためです。
刀身の地鉄と刃文を見て時代を絞り、銘の彫り方と照らして判断する。この工程を踏める人がいる店は限られます。判断できない店ほど、外して損をしない低めの金額に寄せていきます。
売り先が国内の店頭だけだと上限が決まる
幅広い品を扱う総合リユース店は、自分の店の棚で売る前提のため、その売値から逆算した金額しか出せません。刀剣を求める客が来る店ではないので、そもそも棚に置く理由が薄い品物です。値がつかず断られることもあります。
刀剣を専門に扱う業者は、愛好家の会や刀剣商の市場、海外の収集家まで販路を持っています。同じ一振りでも、渡した先で売れる値段が違えば提示できる金額も変わってくるでしょう。作品や展示で刀が話題になった時期は買い手が増え、金額が動くこともあります。全ジャンルを相場表で処理する査定では、時代や流派の価値が金額に乗りません。
安く出るのは店が悪いからではなく、扱う業態が違うためです。刀は刀を売れる相手に持っていく。それだけで結果が変わります。
刀剣が買取不可・大幅減額になりやすい条件
断られるパターンは、法の手続きに関わるものと、刀身の傷みに関わるものに分かれます。前者は手を打てば解決し、後者は元に戻せません。あてはまるものがないか、出す前に見ておきましょう。
登録証がなく、審査にも通らない刀身
登録証がない刀は、審査を受けて登録されるまで売買の対象になりません。さらに、日本刀としての作りを備えていないと判断された刀身は、審査そのものに通らないことがあります。
戦時中に工場で量産された機械打ちの刀身は、この線引きにかかることがあります。判断は審査会が行うため、自分で決めつけず相談してみてください。
刃切れ・曲がり・折れが入った刀
刃の側から横向きに入った割れは、刀剣では致命的な傷として扱われます。刃切れと呼ばれ、研ぎでは消せません。大きく曲がった刀、途中で折れた刀も同じで、値がつかないことが多くなります。
ただし、有名刀工の在銘であれば傷があっても引き取り手が現れます。自分で線を引かず、見てもらってから決めるほうが取りこぼしがありません。
自分で錆を落とした跡がある刀
紙やすり・金属磨き・工具で錆を落とした刀身は、価値が大きく下がります。研師が整えた面と角度が変わり、刃文の見え方まで崩れてしまうためです。
油を塗り直すのも、専用の丁子油以外は避けてください。食用油やミシン油は固まって、かえって錆の原因になります。触らずにそのまま出す。それが一番確実です。
模造刀・土産物の日本刀
刃の付いていない模造刀は、数千円がつけば良いほうです。亜鉛合金の刀身に鍍金をかけた品が大半で、量産されているぶん中古の需要も限られます。
例外は、拵えに本物の金具が使われている品。鍔や目貫だけを外して評価されることがあります。飾り台や刀掛けも、螺鈿など手の込んだものなら1万円前後で取引されています。
断られる条件のうち、自分で防げるのは「触らないこと」の一点です。手を加えないまま持ち込めば、少なくとも下げ幅は生まれません。
刀剣の買取金額を落とさないためにできること
刀剣で金額を伸ばす方法は、着物や食器ほど多くありません。できるのは、付いてきたものを散らさず、状態を今のまま保って渡すこと。この4つを押さえておけば十分です。
登録証・鑑定書・箱をそろえて出す
登録証は査定の前提、鑑定書は金額の下支えになります。日本美術刀剣保存協会の鑑定書、購入時の証書、桐箱や刀袋。一式そろっていれば、業者は真贋の確認にかける手間を減らせます。その分が金額に返ってきます。
古い認定書が出てくることもあります。以前の制度で発行された貴重刀剣・特別貴重刀剣の認定書で、現行の区分とは別ですが、来歴を示す資料として扱われます。捨てずに一緒に出してください。
白鞘・拵え・刀掛けまでまとめて見せる
刀身に付いていた外装は、外さずそのまま出すほうが有利です。拵えの金具に価値があることも、白鞘の鞘書きが作者の手がかりになることもあります。
床の間の刀掛け、鑑賞用の台、手入れ道具の打粉と丁子油。刀まわりの品は一式で見てもらうと、単体では値がつかないものも合わせて引き取ってもらえます。
刀身に素手で触れない、自己流の手入れをしない
刀身は素手で触ると、指の跡がそのまま錆になります。手入れの心得がないなら、抜かずに鞘に納めたまま渡すのが正解。柄を外そうとして目釘を折る事故もよくあります。
押し入れの下段や北側の物置は、刀にとってよくない置き場です。湿気の少ない場所に移すところまでが、素人にできる手入れの範囲だと考えてください。
売るまでは白鞘に納めて横に置く
刀は白鞘に納めて横に寝かせて置くのが基本です。立てかけると刀身に塗られた油が下へ流れ、上のほうが乾いて錆の入り口になります。床の間に飾ったままの刀ほど、抜いてみると曇っていることが多いところ。
手入れの心得がある場合は、春と秋の年2回ほど古い油を拭き取って丁子油を塗り直します。自信がなければ何もしないほうが安全で、査定までの数週間なら湿気の少ない場所に横置きしておけば十分です。
来歴を分かる範囲で伝える
誰から受け継いだ刀か、いつから家にあるかを伝えるだけで、査定の見立てが変わります。祖父が軍で使っていた、旗本だった家に代々あった、といった話が時代を絞る手がかりになるためです。
証明する書類がなくても構いません。分かる範囲で話せば十分で、そこから業者が調べを進めてくれます。
手を加えず、そろえて、分かることを話す。刀剣で金額を守るコツは、この3点に尽きます。
値段がつかなかった刀の手放し方
値がつかなかった刀を、ごみとして捨てることはできません。刀剣は自治体の粗大ごみで受け付けてもらえず、扱いを間違えると法に触れます。取れる方法は、業者に引き取ってもらうか、警察署へ持ち込むかの2つです。
無料引取りに応じるかは業者ごとに違う
値のつかない刀を無償で引き受ける業者もいれば、預かり自体を断る業者もいます。刀は捨てて処分できないぶん、断られたときの行き先に困ります。申し込みの電話口で先に聞いておくと、無駄足を踏みません。
他の品と一緒に見てもらう場合、着物や骨董で金額が出れば、刀の分をまとめて引き受けてくれることもあります。遺品買取で値がつくものの一覧にまとめてあるので、家全体を片付ける流れなら先に目を通しておくと計画が立てやすくなります。
警察署に任意提出して処分してもらう
どうしても手元に置きたくない刀は、警察署に任意提出して処分してもらう方法があります。提出すると所有権を手放すことになり、金銭は受け取れません。登録証がある刀もない刀も相談できます。
ただし、値がつくかもしれない刀を確かめずに手放すのはもったいないところ。査定は無料で受けられるので、金額を聞いてから決めても遅くはありません。
奉納・寄贈という納め方もある
神社や資料館が刀剣の奉納・寄贈を受け付けていることがあります。先祖から受け継いだ一振りを、金額に換えずに納めたい人向けの方法です。
受け入れの条件は場所によって違い、断られることも珍しくありません。事前の相談が必要で、登録証の引き渡しと届出も通常どおり発生します。
捨てられない品だからこそ、渡す先を決めるまでが片付けになります。まず金額を知り、そのうえで残すか渡すかを選ぶ順番が無理のない進め方です。
刀剣を売る4つの方法|店頭・宅配・個人売買・出張の使い分け
刀剣の売り方は4つあり、点数と刀の状態で向き不向きが分かれます。1点だけで近くに専門店があるなら店頭、小さな刀装具なら宅配、点数が多いなら自宅で見てもらう出張。個人売買は登録証のやり取りまで自分で背負うため、慣れていない人には荷が重いところです。
| 売り方 | 向いている品 | 手間 |
|---|---|---|
| 店頭買取 | 1〜2点・近くに専門店がある | 運搬と待ち時間 |
| 宅配買取 | 鍔・目貫などの小物 | 梱包と発送 |
| 個人売買 | 相場を自分で判断できる人 | 出品・発送・届出の案内 |
| 出張買取 | 刀・槍・複数点・蔵ごと | 立ち会いのみ |
それぞれの中身を順に見ていきます。
店頭買取は運搬の段取りがついてから
店頭に持ち込む場合、刀は袋や布で包み、登録証を必ず一緒に携帯します。抜き身のまま持ち歩いたり、正当な理由なく持ち出したりすると問題になります。車で運ぶのが現実的でしょう。

刀剣を見られる店は限られていて、近くにあるとは限りません。往復の時間を考えると、1〜2点だけを持って回るには負担の大きい売り方です。
宅配買取は刀装具のような小物向き
鍔や目貫だけなら、箱に詰めて送る方法が手軽です。登録証が要らない品なので、やり取りも簡単に済みます。宅配キットを用意している業者を選べば梱包材も届きます。
刀身のある品は事情が変わります。長さがあり、配送中の破損や紛失も心配なところ。送れる場合でも登録証のコピーを添えるなど条件がつくため、申し込み前に確認しておいてください。
個人売買は登録証と届出の案内まで背負う
そもそもフリマアプリでは、刀や短刀・槍・薙刀の出品が禁止されています。メルカリのヘルプには銃刀法で規制される刀剣類が禁止品として並んでいて、登録証の記載があっても出品できないと書かれています。売り先は、刀剣の取引を認めているネットオークションなどに限られるわけです。
出品できる場でも、登録証の引き渡しと届出の案内は自分の仕事です。買った人は20日以内に所有者変更届を出す義務を負うため、そこを伝えないまま発送するともめ事の種になります。
刀は梱包も難関です。長尺の荷物として送料がかさみ、輸送中に鞘が割れたと言われれば返品交渉が始まります。真贋をめぐって後から連絡が来ることもあり、対応が長引きがち。
販売価格が高く見えても、手数料と送料、それに費やす時間を引くと手元に残る額は変わりません。刀剣のように手続きが絡む品では、慣れた相手に任せたほうが結果的に楽です。
点数が多いなら自宅まで来てもらう出張買取
刀が複数ある、槍や薙刀がある、蔵ごと片付けたい。そういう状況なら出張買取が向いています。運ばずに済むうえ、その場で1点ずつ判断できるからです。刀装具や骨董が一緒に出てきても、まとめて見てもらえます。
刀を任せられる相手として、この記事では刀剣の専用ページと登録証の案内まで用意している福ちゃんを取り上げます。どこが刀剣向きなのかは、こちらで具体的にお伝えします。
4つを並べると、刀は運ばない方法ほど負担が軽いと分かります。品数と体力に合わせて選んでみてください。
刀剣を任せる業者の見分け方
刀剣は手続きが絡むぶん、相手選びが結果を左右します。見るところは4つ。古物商の許可があるか、刀剣の実績を公開しているか、本人確認と書面の交付にきちんと応じるか、そして即決を迫らないか。ここを満たす相手なら安心して玄関を開けられます。
古物商許可と刀剣の買取実績を確かめる
買取を仕事にするには、都道府県公安委員会が出す古物商の許可が要ります。会社概要のページに番号が書かれているかを最初に見てください。書いていない相手は、そこで候補から外して差し支えありません。
刀剣の買取実績が公開されているかも判断材料です。刀工名まで書かれた実績が並んでいれば、見られる人が社内にいる証拠になります。
登録証と届出の説明をしてくれるか
刀剣の扱いに慣れた業者なら、登録証の確認と所有者変更届の説明を必ずしてくれます。登録証のない刀については、警察署への発見届から案内してくれるのが普通です。
逆に、紙の有無を確かめないまま買い取ろうとする相手は避けてください。手続きを飛ばす取引は、後から自分に返ってきます。
本人確認と書面の交付に応じるか
買取の際は身分証による本人確認が法律で義務づけられています。訪問して買い取る取引では、契約内容を記した書面を渡すことも決められています。
身分証を見せずに済ませようとする、書面を出さない。そうした相手は法の求めを守っていません。相見積もりを取って比べれば、対応の差はすぐに見えてきます。
その場で決めるよう迫る相手は避ける
「今日中なら高く買える」と急がせる相手からは、いったん離れて構いません。考える時間を与えない売り方は、訪問購入の被害でよく報告される手口です。
刀剣は相場に季節がなく、明日になって値が崩れる品ではありません。急ぐ理由があるとすれば、それは売る側ではなく買う側の都合です。
許可・実績・書面・態度。この4つを満たす相手を選べば、刀剣の売却でつまずくことはまずありません。
蔵や仏間の刀をまとめて手放すなら福ちゃんの出張買取
刀に槍、鍔の入った桐箱、床の間の掛軸。家から出てくる品がひとつで終わらないなら、来てもらう売り方が一番負担が軽く済みます。まずは業界に共通する仕組みから見ていきましょう。

出張買取が店頭や個人売買より負担の軽い理由
出張買取は、査定士が家まで来て目の前で金額を出す売り方です。費用は出張料も査定料も、断ったときのキャンセル料も0円が業界の並び。窓口はWeb・電話・LINEの3つで、急ぐときは当日に動く業者もあります。
家に呼んで断れるだろうかと構える人は多いもの。金額に納得できなければ費用ゼロで見送れますし、見せた品を全部渡す決まりもありません。刀は仏間に残して鍔と目貫だけ手放す、といった分け方もできます。
訪問して買い取る取引には、契約から8日以内であれば理由を問わず解約できるクーリング・オフ(無条件解約)が用意されています(一部の品目は除かれます)。一度サインしたら戻せないと言う相手がいれば、その言い分のほうが法に反しています。
長い荷物を車に積む段取りも、買い手に届出を説明する気疲れも、この売り方なら生じません。座ったまま1本ずつ見てもらい、その場で可否を決めるだけ。以上が業者を問わない共通の中身です。
福ちゃんが刀剣の整理に向いている理由
福ちゃんは刀剣の専用ページを公開し、日本刀・太刀・脇差・槍・薙刀・刀装具まで買取対象として明記しています。錆びた刀、無銘、刀身のみ、真贋不明といった状態でも受け付けると書かれていて、登録証の取得手順まで案内されています。実際に利用した人の声は福ちゃんの評判記事にまとめました。
公開されている買取実績からも、刀の扱いに慣れているのが読み取れます。


藤島友重は錆と傷が少しありながら、保存状態のよさが評価された一振り。藤原吉綱のほうは、刃こぼれが数か所あっても値がつきました。ほかにも太刀「正利」、槍「兼定」、薙刀の無銘、金象嵌の目貫まで実績に並びます。向いている点を整理すると、こうなります。
- 刀剣の実績を刀工名まで公開していて、誰が見るのかが事前に分かる
- 登録証のない刀も門前払いにせず、届出の段取りから相談に乗ってもらえる
- 取扱は19カテゴリ・累計800万点。武具と一緒に出る掛軸や古銭も同じ日に片づく
- 女性査定士を指名できるレディースプランと、社名の入らない車での訪問に対応
刀剣は出張・宅配・店舗の3つとも受け付けています。運営は株式会社REGATEで、大阪府公安委員会の古物商許可を受けた会社です。登録証のない刀については、まず相談してほしいと公式に書かれています。
刀を見慣れた相手に、家に残っている武具ごと目を通してもらう。遠回りに見えて、これが取りこぼしを防ぐ一番早い道です。
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登録証を添えて渡すまでの4段階
申し込んでから支払いを受けるまで、自分の手が塞がるのは合わせて40分ほど。入力に3分、立ち会いに30分前後、残りは日時を待つ時間です。刀を売るのが初めてでも、判断に困る場面はまず出てきません。

STEP1 Web・電話・LINEで申し込む(3分)
申し込みでは、刀の本数と登録証の有無を伝えます。登録証が見当たらない場合もここで相談できます。写真を送れる窓口なら、鞘に納めたままの状態で1枚撮っておくと話が早いはずです。
登録証を見ながら、刃長・反り・銘の欄をそのまま読み上げると話が早く進みます。ほかに見てほしい武具があれば、この段階でまとめて伝えておきましょう。刀剣を扱える査定士の手配に関わります。
STEP2 訪問日を決める(申し込み後すぐ)
折り返しの連絡で、訪問の日時を決めます。都合が合えば当日や翌日の対応も可能です。家族に立ち会ってほしい日を選んでも構いません。
準備として頼まれるのは、刀と登録証を出しておくことくらい。掃除も箱詰めも不要です。
STEP3 自宅で査定を受ける(30分前後)
査定士が刀身と茎を確認し、その場で金額を出します。柄を外すのも査定士の仕事なので、事前に分解しておく必要はありません。銘の読み方や時代の見立ても、その場で説明してもらえます。
1点ずつ金額が示されるので、売る品と残す品を分けながら聞いていけます。ほかの骨董や着物も一緒に見てもらえます。
STEP4 その場で受け取る、または断る
金額に納得できればその場で支払いを受け、登録証を刀と一緒に引き渡します。所有者変更届は買い取った側が出すため、こちらの手続きは終わりです。
断る場合も費用はかかりません。全部残しても構いませんし、迷う品だけ後日決めても大丈夫です。
長い刀を車に積んで店を探し歩けば半日仕事。家で完結させれば、その半日がまるごと空きます。
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刀剣の売却・手続きでよくある質問
問い合わせが多いのは、登録証がないときの扱い、警察に届けたらどうなるか、押し買いへの不安、そして錆びた刀の値段です。順に答えていきます。
- 登録証のない刀は売れないのですか?
-
そのままでは売れませんが、登録を受ければ売れます。
所轄の警察署に発見届を出し、その後の登録審査会で登録証の交付を受ければ、通常どおり買取の対象になります。手数料は6,300円です。届出を済ませる前に運んだり譲ったりしないでください。手順は変わることがあるため、最新の内容は警察署や都道府県の教育委員会でご確認ください。
- 警察に届け出たら刀を没収されませんか?
-
いいえ、届出は登録を受けるための手順です。
発見届を出すと刀剣類発見届出済証が交付され、その後の審査で登録証が発行されます。取り上げるための制度ではありません。届出は発見した本人か家族が行う決まりで、代理を立てると処罰の対象になります。
- 家に呼んで、断れなくなることはありませんか?
-
いいえ、その場で断って構いません。
出張料も査定料も、見送ったときの費用も0円です。1本ごとに渡す渡さないを決められますし、契約後8日以内なら理由なしで解約できる決まりも用意されています(一部の品目は除かれます)。解約できないと言い張る相手のほうが、法に反していると考えてください。
- 売った後の手続きは自分でするのですか?
-
所有者変更届を出すのは、買い取った側です。
持ち主が変わったときは、新しい所有者が20日以内に、その刀を登録した教育委員会へ届け出ます。売り手は登録証を刀と一緒に渡せば手続きは完了です。相続で受け継いだ刀を持ち続ける場合は、自分が届け出る側になります。
- 錆びた刀でも値段はつきますか?
-
はい、刀身が健全なら数万円から値がつきます。
表面の曇りや薄錆は研ぎ直しで戻る範囲です。刃切れや大きな曲がりがあると評価が下がりますが、有名刀工の在銘なら傷があっても買い手がつきます。自分で錆を落とすと価値が失われるので、触らずそのまま出してください。
- 買い手のつかない刀は、そのまま置いていけますか?
-
業者によって対応が分かれます。
無料で引き取る業者もあれば、引き取り自体をしない業者もあります。刀剣はごみとして捨てられないため、断られると手元に残ります。申し込みの段階で確認しておくと安心です。どうしても手放したいときは、警察署への任意提出という方法もあります。
- 近所のリサイクル店に持ち込むのでは駄目でしょうか?
-
刀を読める人が社内にいるかどうかで、数倍の開きが出ます。
何でも扱う店は自店の棚で売り切る前提なので、その売値から引き算した金額しか出せません。刀剣を専門にする業者は愛好家や同業の市場へ流せるため、提示できる上限そのものが違います。時代や流派の見立ても金額に乗ります。
- 高く売れた場合、確定申告は必要になりますか?
-
1振り30万円を超える金額で売れたときは対象になります。
書画骨とうに含まれる刀剣は、1振り30万円を超えると譲渡所得として扱われます。ただし譲渡所得には年間50万円の特別控除があり、買ったときの値段より安く売れた場合は利益が出ていない計算になります。数十万円で収まるなら申告不要で済むことが多い一方、名刀で数百万円が動くなら税務署か税理士に確認しておくと安心です。
- 模造刀か本物の刀か、自分で見分けられますか?
-
登録証が付いていれば本物、というのが一番確かな目安です。
模造刀は亜鉛合金の刀身に鍍金をかけたものが多く、鎬の線が甘い、刃が付いていない、柄が接着で外れないといった違いがあります。ただし抜いて確かめる作業そのものに危険が伴うところ。判断がつかないときは抜かずに警察署へ相談すれば、無料で確認してもらえます。
- 海外に住む家族に譲ったり、輸出したりできますか?
-
持ち出すには文化庁の古美術品輸出鑑査証明が要ります。
刀剣を国外へ送るときは、文化財の海外流出を防ぐ仕組みとして文化庁の鑑査を受ける決まりです。国宝・重要文化財・重要美術品に認定された品は、そもそも輸出が原則として認められません。申請には日数がかかるうえ相手国側の規制もあるため、個人で進めるのは負担が大きい手続きです。制度の詳細は文化庁の案内でご確認ください。
つまずくのは、届出まわりと刀身の状態のふたつ。どちらも独りで答えを出す必要はなく、扱い慣れた相手に見せれば道筋が立ちます。
刀剣を安全に手放すための要点まとめ
ここまでの話を、手を動かす順に並べ直します。家の一振りがどこに当てはまるか照らし合わせながら読んでみてください。
- 刀・脇差・短刀・槍・薙刀は銃砲刀剣類登録証があるものだけ所持・売買できる
- 登録証がない刀は、運ぶ前に所轄警察署へ発見届を出すのが最初の手順
- 登録審査会の手数料は6,300円で、通れば即日で登録証が交付される
- 持ち主が変わったら、新所有者が20日以内に教育委員会へ届け出る
- 刃のない模造刀・美術刀・現代の居合刀は登録が要らない
- 在銘で鑑定書のある刀は20万〜50万円台、重要刀剣なら100万円超もある
- 無銘の脇差・短刀でも刀身が健全なら2万〜5万円台で買い取られる
- 軍刀は外装が同じでも、刀身が日本刀か機械打ちかで金額が一桁変わる
- 鍔や目貫などの刀装具は登録証が要らず、単体でも売れる
- 自分で錆を落とすと価値が戻らないため、触らずそのまま査定に出す
- 売るまでは白鞘に納めて横に寝かせ、湿気の少ない場所に置いておく
同じ蔵の中に、数千円で終わる刀と数十万円になる刀が並んでいます。素人目で先に振り分けず、全部を見せてから決める。この順番を守れば、渡したあとに悔やむことはありません。
家に残る一振りを、扱える人の手に渡す
刀は、その家に伝わってきた歴史そのものです。曽祖父が軍に持っていった、旗本だった先祖から続いている、由来は分からないが床の間にあった。どの家にも事情があります。
置いておくほど錆は進み、家族の負担になる
押し入れに入れたままの刀は、湿気を吸って少しずつ錆が広がっていきます。白鞘の中は外から見えないため、気づいたときには刃文が曇っていることも珍しくありません。
手続きの面でも同じことが言えます。自分の代で整理しておかなければ、次の世代が登録証を探すところから始めることになります。分かる人がいるうちに動くほうが、家族のためです。
蔵や床の間ごと片付けると話が早い
刀のある家には、掛軸や火鉢、古銭や勲章まで一緒に残されているものです。武具の外まで扱える相手に頼めば、蔵の整理が一度の訪問で先へ進みます。
一振り手放しただけでは、棚の景色は変わらないでしょう。周りの品ごと相談したほうが、かける労力に見合う結果になります。
残すと決めるためにも、価値を知っておく
見てもらったからといって、その場で手放す義務は生じません。金額と由来を聞いたうえで、残す一振りと渡す一振りを分ければいいだけです。
先祖が守ってきた一振りが、いつの時代の、どういう作なのか。それを知ること自体に意味があります。分かって初めて、残すか渡すかを落ち着いて選べます。
長い刀を車に積んで店を探すより、家に来てもらって蔵ごと見てもらう。そのほうが早く、金額の取りこぼしもありません。刀は運ぶこと自体に神経を使う品物ですから。
先祖から回ってきた一振りが、扱いを心得た人のもとへ無事にたどり着くことを願っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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