「一度か二度しか袖を通していない訪問着、たんすで眠らせたままでいいのかな」。子どもの入学式や親戚の結婚式のために誂えた1着が、そのまま20年という家は少なくありません。
その訪問着、買い取ってもらえます。目安は銘のない正絹で3,000〜10,000円、金彩や刺繍が入った1着なら13,000〜50,000円。加賀友禅の作家物になると10万円を超える例もあります。
ただ、この金額差を決めているのは「高かったかどうか」ではありません。落款と証紙、柄行き、そして寸法。買った時の値段が同じ40万円でも、手放す時は数千円と7万円に分かれます。
もうひとつやっかいなのが、持ち込む先を選ぶ点。近所の総合リユース店は和装そのものを扱わないことが多く、たとう紙を抱えて出向いても受付で戻されます。
訪問着は帯や和装小物と一緒にしまわれているぶん、まとめると相当な量です。着物を扱う店を探して往復する前に、自宅まで来てもらう出張買取も並べて比べてみる価値があります。
この記事では、素材と銘ごとの相場、付け下げとの見分け方、断られやすい状態、金額を上げるひと手間、値段がつかなかった時の手放し方までまとめました。読み終える頃には、たんすの1着をどこへ出すのが損しないかが見えてきます。
この記事を読んでわかること
- 銘なし・技法物・作家物で分かれる買取金額の水準
- 誂えた値段の何割が戻ってくるのかという金額の目安
- 付け下げと訪問着を自宅で見分ける方法
- 買取を断られやすい状態と、断られた時の行き先
- 店頭・宅配・フリマ・出張それぞれの向き不向き
訪問着の買取相場|銘なし・技法物・作家物別の買取金額
訪問着の買取金額は、1着で数百円から15万円前後まで開きます。分かれ目になるのは素材と銘、そして柄の入れ方。正絹で落款や証紙があれば数万円、化繊や広範囲のシミがあれば値がつきません。着物全体の相場感は着物買取の相場一覧で種類別に整理していますが、訪問着はその中でも技法による差が大きい品目です。まずは全体像から確認していきましょう。
| 訪問着の区分 | 買取金額の目安 |
|---|---|
| ポリエステル・化繊の訪問着 | 買取不可〜500円 |
| 銘のない正絹(状態は並) | 3,000〜10,000円 |
| 金彩・刺繍・絞りが入った正絹 | 13,000〜50,000円 |
| 加賀友禅・京友禅など有名産地 | 30,000〜80,000円 |
| 人間国宝・名のある作家の落款入り | 100,000〜150,000円 |
上と下で200倍以上の開きがあります。自分の1着がどの帯に入りそうかを先に見当づけておけば、提示された金額に戸惑わずに済むはず。区分ごとに順に見ていきます。

銘のない正絹の訪問着は3,000〜10,000円が中心
作家名も産地の証紙もない正絹の訪問着は、3,000〜10,000円が中心です。訪問着は明治期に洋装の外出着をもとに考案された比較的新しい着物で、既婚・未婚を問わず着られる準礼装。着る場面が広いぶん中古の需要は安定していますが、量産された品も多く出回っています。
| 仕様・状態 | 中古の売値相場 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 正絹・古典柄・シミなし | 8,000〜20,000円 | 5,000〜15,000円 |
| 正絹・現代的な柄行きで銘なし | 5,000〜10,000円 | 3,000〜8,000円 |
| 身丈160cm・裄66cm以上の大きめ | 12,000〜25,000円 | 8,000〜15,000円 |
| 薄いシミ・折り跡が残るもの | 3,000〜6,000円 | 1,000〜3,000円 |
ここで大きく響くのが寸法です。昭和の仕立ては身丈150cm前後・裄64cm程度が普通で、身長160cmを超える人には短すぎます。裄66cm以上の大きめなら着られる人が一気に広がり、同じ品でもひと回り高い金額がつきます。
柄の内容も見られます。四季を通して着られる古典柄は年齢を選ばず、次の持ち主が見つかりやすい1着。逆に大ぶりの流行柄や季節が限られる意匠は、扱える時期が短く金額が伸びにくくなります。未婚の娘の晴れ着として仕立てた1着なら振袖の買取相場のほうが当てはまります。
金彩・刺繍・辻が花が入った訪問着は13,000〜50,000円
手のかかる技法が施された訪問着は、13,000〜50,000円の帯に入ります。刺繍や絞り、金糸・銀糸を通した生地は、それ自体に人手と時間がかかっているため、作家名がなくても評価されるからです。実際の買取実績を見ると、この帯の手の込み具合がよく伝わります。
| 技法・仕様 | 買取金額の目安 |
|---|---|
| 刺繍を主体にした正絹の訪問着 | 15,000〜25,000円 |
| 辻が花絞り・銀通しの正絹 | 12,000〜20,000円 |
| 汕頭(スワトウ)刺繍を重ねた手描き友禅 | 20,000〜50,000円 |
| 帯・和装小物を含む一式でのまとめ売り | 13,000〜30,000円 |
公開されている例では、古代エジプトの模様を刺繍で表した訪問着が21,000円。同じ刺繍でも面積が広く、糸の色数が多いほど手間がかかっているため、査定でもそこを見られます。

絞り染めも同じ扱いです。丹後ちりめんに辻が花の絞りを施し、銀糸を通した1着には17,000円がついています。ひと粒ずつ糸で括って染め分ける技法で、面積のわりに工程が多いためです。

技法の名前まで覚える必要はありません。生地に糸で刺した模様が浮いている、生地が細かく波打っている、光にかざすと金や銀が走る。この3つのどれかに当てはまれば、数千円では終わらない1着だと考えて構いません。
作家物・加賀友禅など有名産地は10万円を超えることも
名の通った作家の訪問着は、45,000円から15万円前後まで届きます。人間国宝や一線の染色作家の作品は数が限られ、着物を専門に扱う業者の間で常に引き合いがあるためです。落款と証紙がそろっていれば、多少の折り跡があっても値がつきます。
| 作家・産地 | 買取金額の目安 |
|---|---|
| 由水十久(本加賀友禅・落款あり) | 100,000〜135,000円 |
| 羽田登喜男(加賀友禅・人間国宝) | 100,000〜150,000円 |
| 木村雨山(加賀友禅・人間国宝) | 80,000〜120,000円 |
| 藤井寛(皇室に献上した染色作家) | 50,000〜71,000円 |
| 二代目久保田一竹(一竹辻が花) | 45,000〜48,000円 |
| 加賀友禅・京友禅(作家名のない産地物) | 30,000〜80,000円 |
実際に、藤井寛が手がけた秋篠宮妃への献上柄の訪問着には71,000円がついています。保管による折り跡が残る状態でしたが、作家と柄が特定できたことで金額が保たれました。

二代目久保田一竹の一竹辻が花も、丹後ちりめんの1着に48,000円。地色が淡く一見おとなしい品でも、落款があるかどうかで金額の桁が変わります。

本加賀友禅かどうかの判別には、加賀染振興協会が出す証紙を使います。落款は衽(おくみ)や衿先に小さく押されているので、たたんだ状態で端をめくれば確認できます。読めなくても構いません。査定の担当者が見れば作家を特定できます。同じたんすに普段着の着物が並んでいるなら付下げ・小紋の買取相場も見ておくと全体の見当がつきます。
化繊・柄が少ないもの・状態難は買取不可〜数千円
ポリエステルの訪問着や広範囲のカビがある1着は、買取不可か数百円が現実です。洗える着物として大量に流通したぶん中古市場は飽和していて、引き取り手が見つかりません。正絹でも柄が少なく無地に近いものは、色無地に近い扱いになり金額が落ちます。
| 素材・状態 | 中古の売値相場 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| ポリエステル・化繊の訪問着 | 2,000〜6,000円 | 買取不可〜500円 |
| 柄が少なく無地に近い正絹 | 3,000〜8,000円 | 1,000〜3,000円 |
| カビ・黄変が広範囲に出たもの | 1,000〜3,000円 | 買取不可〜1,000円 |
| 未仕立ての正絹(絵羽の反物) | 20,000〜50,000円 | 10,000〜25,000円 |
目を引くのは最後の行です。仕立てる前の絵羽の反物は、まだ誰の寸法にも縫われていません。買った人の体格に合わせて仕立てられるため、仕立て上がりより高く評価されます。「いつか縫おう」としまい込んだ1本があるなら、早めに出したいところ。
ここまでを整理すると、訪問着の金額を決めるのは素材・技法・銘・寸法の4点。自分の1着の見当がついたら、次はよく混同される付け下げとの違いを押さえておきましょう。申告のしかたで金額が変わることがあります。
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訪問着と付け下げの見分け方|柄が縫い目でつながるかどうか
訪問着と付け下げは、縫い目で柄がつながっているかどうかで見分けられます。格は訪問着が上で、買取金額も一般に訪問着の方が高め。たんすから出した1着をどちらとして出すかで、扱いが変わることもあります。
絵羽づけの訪問着は柄が一枚の絵のようにつながる
訪問着は絵羽(えば)づけという方法で染められます。反物を先に裁って仮に縫い合わせ、着た姿を想定して柄を描いてから、ほどいて染める。この手順を踏むため、肩から袖へ、胸から脇へと縫い目をまたいで柄がつながります。
付け下げは反物のまま染めるので、縫い目のところで柄が途切れます。模様も控えめで、飛び柄のように散らして配されることが多い品。ハンガーにかけて肩の縫い目を目で追えば、たいていはその場で判別できます。
柄がまったくない一色染めなら色無地、全体に細かい模様が繰り返されていれば小紋です。格の順でいえば留袖、訪問着、付け下げ、色無地、小紋の並び。買取金額もおおむねこの順に下がります。
申告を間違えると格を低く見られることがある
着物を専門に見る担当者なら、申告に関わらず現物で判断してくれます。問題は和装に不慣れな店に出した時。「付け下げです」と伝えたまま、格の低い品として相場表に当てはめられることがあります。
迷ったら、無理に言い切らず「柄が縫い目でつながっています」と現物の様子を伝えれば十分です。呼び名が分からなくても、肩と胸の柄の続き方を一言添えるだけで、査定の入口が変わります。付け下げか訪問着かは、金額を左右する最初の分かれ道になります。
訪問着の買取金額が思ったより伸びない3つの理由
40万円で誂えた1着が数千円に落ち着くのは、店が渋っているからではありません。袖を通す機会の細り、寸法と柄行きという縛り、そして品の行き着く先。この3つが折り重なって数字を押し下げます。事情が飲み込めれば、どこへ出せば変わるのかも見えてきます。

着る日は、借りて済ませる人のほうが多くなった
訪問着の出番は、結婚式や式典、茶席、七五三の付き添いあたり。かつては1着そろえておくのが当たり前でしたが、今は必要な日だけ借りる人が増えました。
金額の感覚をつかむ目安が1つあります。中古の着物は誂えた値段の5分の1から10分の1に収まる、というものです。40万円で仕立てた1着なら4万〜8万円。そこから銘の有無と状態で削られていくため、数千円という数字も出てきます。
借りるほうは着付けも小物の手配も込みで、しまう場所にも困りません。買って寸法を直すより手軽なぶん、購入の需要はそちらへ移りました。次の持ち主が現れにくい品は、買い取る額も抑えられます。
寸法と柄行きが、袖を通せる人を狭める
訪問着は誂えが基本なので、寸法が持ち主の体格に合わせて縫われています。身丈が155cmを下回る1着は、今の平均的な体格では着られません。仕立て直しに数万円かかる計算になります。
柄行きも同じ事情です。バブルの頃に流行った、金彩を強く押し出した大ぶりの意匠は今の好みから離れています。生地が良くても袖を通す人が限られる品は、店の側も抱え込みにくくなります。
総合リユース店は和装を扱わず、扱っても売り先が店頭止まり
いちばん身近な持ち込み先である総合リユース店は、そもそも和装を取扱の対象から外していることがほとんどです。大手チェーンは公式の取扱不可品に和装を挙げていて、袋に詰めて運んでも受付で戻されます。
引き受けてくれる店でも、数字が伸びにくい理由があります。総合リユース店が品をさばくのは国内の自社売場。そこで完売できる価格から差し引く計算なので、買い取れる上限が最初から頭打ちになります。
衣類も家電も同じ棚に並べる以上、値付けの土台は相場表と手順書です。落款の作家名や産地の紙まで判読できる担当者は、めったにいません。同じ加賀友禅なのに店や担当が替わると数倍動くのは、この事情によります。
和装を本業にしている先は違います。国内の愛好家だけでなく、海外の市場や仕立て直しの需要へも品を回せるからです。渡せる先が多いほど、提示できる上限も伸びます。訪問着が安く終わるかどうかは、品そのものより渡り先で決まる。どこへ持ち込むかが金額のほとんどを左右すると考えてください。
訪問着で買取を断られるのは、どんな状態か
断られる訪問着は、素材で最初から外れる品と、手を入れても戻らない品の2通りです。正絹だから安心とは限りません。どちらに当たるかで、そのまま出すか、いったん考え直すかが変わります。まず手元の1着を下の表と見比べてみてください。
| 断られやすい状態 | 手を入れて戻せるか | 査定での扱い |
|---|---|---|
| ポリエステル・ウールなど正絹以外 | 戻す・戻さない以前の問題 | ほぼ値がつかない |
| 折り目に白い粉が浮くカビ | 奥まで入ると戻らない | 見送られやすい |
| 衿・袖口・裾の茶色い変色(黄変) | 色補正なら戻せる | 費用しだいで持ち出し |
| 虫食いの穴・八掛のすり切れ | 八掛は替えられる | 穴の位置で分かれる |
| 胴裏だけが茶色く焼けている | 胴裏は交換できる | 表地が無事なら残る |
| 防虫剤や線香のにおいが染みている | 薄まっても抜けにくい | 減点はされる |
一番やっかいなのはカビ。湿気のこもる場所に何年も置くと、折り目に沿って白い粉が浮きます。生地の奥まで菌糸が入れば洗っても抜けません。
訪問着ではここに事情がひとつ重なります。柄が縫い目をまたいで一枚の絵につながっているため、傷んだ一幅だけ布を差し替えると絵が途切れてしまうのです。裏地なら替えが利いても、表地の傷みは打つ手が限られる。だから見送りの判断も早くなります。
黄変は直せるほうに入ります。ただ専門の色補正は1か所で数千円から1万円ほど。銘のない正絹の訪問着なら3,000〜10,000円が中心ですから、2か所も頼めば代金が上を行きます。直してから出すと持ち出しになる、というのはこの計算です。
とはいえ、表に当てはまったから終わりでもありません。金彩や刺繍の入った1着、落款の押された作家物なら、難があっても手を挙げる先はあります。傷んだ着物も引き取ると公式に案内している業者もあるので、ごみ袋に入れる前に一度声をかけてみてください。
訪問着の手取りを増やす5つの下ごしらえ
訪問着は出し方のひと手間で、数千円から数万円動きます。特別な支度は要りません。紙をそろえ、余計なことをせず、一式でまとめる。この3つが土台です。順に見ていきましょう。
落款・証紙・誂えたときの明細を一緒に出す
金額をもっとも動かすのが証紙です。産地や作り手を公に示す紙で、あるかないかで同じ1着が数万円変わります。たとう紙の中、桐箱の底、求めたときの風呂敷や紙袋をあらためてみてください。
呉服店で誂えた際の明細や証明書が残っていれば、それも添えて。作家名や染めの技法が書かれていることが多く、そのまま裏づけになります。
クリーニングやしみ抜きは自分で手配しない
よかれと思って洗いに出すのは、訪問着ではたいてい割に合いません。丸洗いに数千円から1万円ほど先払いしても、同じだけ評価が上がるとは限らないからです。差し引きで手取りが減ります。
洋服だけを扱う店に任せて金彩や刺繍を傷めれば、価値そのものが下がります。汚れは畳んだ状態のまま口頭で申告すれば事足ります。和装を手がける業者は、社内で直せる範囲を計算に入れて数字を出すからです。
査定の数日前にたとう紙を替えて陰干しする
茶色く変色したたとう紙は、湿気を吸い込んだ証拠。そのまま出せば保管が悪かったと見られます。新しい紙に替えるだけでも印象が違います。
風通しのよい部屋で半日ほど陰干しすれば、防虫剤のにおいが軽くなり、しまい込んだ折りジワも落ち着きます。直射日光は色が飛ぶので避けてください。
帯・和装小物・他の着物とまとめて見てもらう
訪問着1点を単体で出すより、たんすの中身をまとめたほうが総額は伸びます。袋帯や名古屋帯、帯締め、帯揚げ、草履、かんざしも対象。袋帯だけで5万円を超えた例もあります。
着物と帯が揃っていれば、受け取った人がそのまま身につけられる一組です。落款入りの訪問着に帯や小物を添えた一組で13,000円という実例も出ています。着物本体より帯のほうが高値だった、という結果も起こり得ます。
寸法を測り、需要が上がる春秋の直前に動く
身丈と裄の数字を把握しておくと、やり取りが短く済みます。背中心の衿下から裾までの長さが身丈、背中心から袖口までが裄。メジャーが1本あれば2分で測れます。
身丈160cm・裄66cmを上回れば、現代の体格の人にも合わせられる1枚です。相談の時点でそれを伝えるだけで、前向きな数字が戻ってきます。さらに訪問着が動くのは結婚式や式典の集中する春と秋。その直前が狙い目になります。紙を揃える、手を加えない、一組で出す、時期を選ぶ。この4点を押さえるだけで手元に残る額が変わります。
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評価がつかなかった訪問着の始末|供養・仕立て直し・ごみ
評価のつかない訪問着にも、供養・仕立て直し・市町村のごみという始末の仕方が残ります。先に押さえておきたい点がひとつ。買取にならなかった品を代わりに処分してくれるかどうかは、業者ごとに方針が違います。ただで引き受ける先もあれば、そのまま返される先もあります。
店へ持参して断られれば、そっくり抱えて戻る羽目になります。依頼の段階で「評価のつかない品も処分してもらえますか」と一言添えておきましょう。故人の着物をまとめて整理する場面なら、遺品の買取で売れるものも合わせて見ておくと、仕分けが1回で済みます。
寺社のお焚き上げにゆだねる(郵送なら箱ひとつ3,000円前後)
母や祖母が袖を通した1着を、そのままごみ袋に入れるのは気が引けます。その受け皿になっているのが、神社や寺で行うお焚き上げです。
金額は無料から15,000円ほどまで幅がありますが、郵送で請け負う代行なら箱ひとつ3,000円前後が相場。歩いて行ける寺社がなくても成立します。供養証を発行する先もあるため、心の整理をつけやすい手立てです。
広い柄をそのまま別の品へ作り替える
訪問着は肩から裾まで柄がつながるぶん、使える面積が広く残ります。ほどいて名古屋帯や道行コート、バッグや数寄屋袋に仕立て直す人もいます。
職人に任せると数千円から数万円かかりますが、柄の映える部分だけを使えば思い出を形にして残せます。とはいえ、証紙や落款が残る1枚を裁つのはもったいない話。先に数字を確かめてから決めてください。
市町村のごみとして処理する
供養にも仕立て直しにも耐えないほど傷んでいるなら、自治体のごみへ出せます。着物は衣類や布の区分に入り、多くの市町村が可燃ごみとして引き取ります。
負担は袋代のみ。区分の名称は地域ごとに異なるため、お住まいの自治体の案内で確かめましょう。ちなみにシミだらけに見えても、たとう紙に証紙が1枚挟まっていれば事情が変わります。処分する前に一度あらためてもらえば、後悔せずに済みます。
訪問着はどこへ出すか|店頭・宅配・フリマ・出張の比べ方
選べるのは店頭・宅配・フリマ・訪問の4つ。枚数と、帯まで含めるかどうかで決まります。1枚を近場で処理するなら店頭、数枚を自分のペースで送るなら宅配、たんすの中身をまるごとなら訪問。それぞれの向き不向きを並べました。
| 売り方 | 手間 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 店頭買取 | 店を探して運ぶ | 着物を扱う店が近所にあり1〜2着だけ |
| 宅配買取 | 箱に詰めて送る | 数着まとめて・急がない |
| フリマアプリ | 撮影・梱包・購入者対応 | 手間をかけても高く売りたい |
| 出張買取 | 申し込んで待つ | 帯や小物も含めてたんすごと |
近所に和装の店があるなら店頭
持ち込んだ日に数字が出て、承知すれば現金で受け取れます。1枚だけを短時間で処理したい場面に適した道です。

厄介なのは、引き受ける店そのものが見つかりにくい点です。総合リユース店は和装を扱わないため、呉服店か和装も買う業者の店舗を探し歩く必要が出てきます。たとう紙は畳んでも幅60cm前後あり、数着を電車で運ぶとなると相当な労力です。
数着まとめて送るなら宅配
和装を手がける業者の多くは宅配にも応じており、資材一式を無料で届けてくれます。詰め終えて集荷を呼べば、外へ出ることなく確かめてもらえます。
留意したいのは、結果の連絡までに数日を要する点と、返送されたときに畳み方が変わっている場合がある点。落款の入った1枚や作家物であれば、目の前で広げてもらったほうが腑に落ちます。
フリマアプリは出す場所で結果が大きく割れる
メルカリでは正絹の訪問着や付け下げが3,000〜10,000円ほどで動いています。ところがオークションでは1,000円前後で落ちる例もあり、同じ1着でも出す場所しだいで結果が割れます。
訪問着はたとう紙ごと包むと80〜100サイズ。送料と販売手数料10%が引かれるため、手取りは表示価格よりかなり痩せます。
| 配送方法 | サイズの目安 | 送料 |
|---|---|---|
| 宅急便 80サイズ | 三辺80cm・5kg | 850円 |
| 宅急便 100サイズ | 三辺100cm・10kg | 1,050円 |
| 宅急便 120サイズ | 三辺120cm・15kg | 1,200円 |
8,000円で売れたとして、送料1,050円と手数料800円が引かれて残るのは6,150円ほど。しかも着物は状態を言葉にするのが難しく、写真に写らなかったシミを理由に返品や評価の話になりがちです。畳み方や湿気への備えまで神経を使えば、1枚あたり半日は費やす計算になります。
帯や小物ごと処理したいなら訪問で
訪問着のほかに留袖や帯、和装小物まで眠っているなら、来てもらうほうが話が早くなります。担当の人が家を訪ね、その場で1点ずつ確かめて数字を出します。たとう紙を運ぶ必要も、写真を撮る必要もありません。
住まいまで来る買取サービスは数多くありますが、当記事が訪問着に挙げているのは「福ちゃん」です。訪問着だけの専用ページを構え、作家物の実例を金額つきで並べているためです。その中身はこちらで詳しく触れます。
1枚きりなら店頭、数枚なら宅配、たんすを空けるなら訪問。訪問着は帯や小物と抱き合わせで眠っている場合が多く、束ねてあらためてもらう進め方が労力と見合います。
訪問着をきちんと評価してもらうなら福ちゃんの出張買取
たんすの中身をまとめて手放すなら、訪問で買い取る福ちゃんが候補になります。着物は主力の取扱カテゴリで、訪問着の実例も金額つきで並んでいます。実際に使った人の声は福ちゃんの評判と口コミにまとめました。まずは自宅に来てもらう売り方そのものから見ていきましょう。

自宅で完結する売り方と、断るときの決まり
担当の人が住まいまで足を運び、目の前で品をあらためたうえで買い取ります。たとう紙を担いで店を探し回る必要も、1枚ずつ撮影して出品する必要もありません。連絡の窓口はWebと電話、そしてLINE。来訪そのものは無料で、日程さえ空いていれば申し込んだ当日に回ってもらえます。
とはいえ「室内へ通したら断りづらいのでは」と警戒する人は多いでしょう。意に反して手放さずに済む取り決めが、次のとおり用意されています。
- 数字に承知できなければその場で断ってよく、確かめてもらうだけならお金はかからない
- 売る品と残す品は1着ずつ選べる。思い入れのある1着だけ手元に置く決め方もできる
- 訪問料も査定料も、取りやめた際の料金も、振込にかかる手数料も、すべて0円
- 住まいで結んだ訪問買取の契約は、8日のうちであれば理由を問わず解消できる(一部の品目を除く)
「解約はできません」と言う業者は制度に背いているので、その場で見送って差し支えありません。白紙に戻せると分かっていれば、来てもらう気持ちも軽くなります。では福ちゃんが訪問着と噛み合うのはなぜか。中身を見ていきます。
作家物も一式のまとめ売りも金額つきで公開されている
訪問着の専用ページがあり、作家名や技法まで読み取ったうえでの数字が並んでいます。藤井寛の献上柄に71,000円、久保田一竹の丹後ちりめんに48,000円、刺繍の1着に21,000円。落款や産地を確かめる目があるからこその金額です。
1点ものだけではありません。落款入りの着物に帯や小物を添えた一式にも13,000円がついています。たんすの中身をまとめて出したい時に、この扱い方は頼りになります。

着物のほかにも噛み合う点があります。並べると次のとおりです。
- 自前の売り先を持っている:国内の店頭に頼りきらないため、総合リユース店で値のつかない和装にも数字を出せる
- 累計800万点・19の取扱カテゴリ:帯や和装小物に加えて、食器・骨董品・貴金属まで同じ日に確かめてもらえる
- 女性の担当を指名できるレディースプランがあり、一人で在宅する時間帯でも来てもらいやすい
- 社名の入らない車で訪問するので、近所に買取と気づかれにくい
運営は株式会社REGATE。古物商の許可を受け、プライバシーマークの認定も取っています。1点からでも来てもらえるので、訪問着1着だけの相談でも構いません。
たんすを開けたら留袖も帯も出てきた、という時こそ出番です。値がつくか読めない品も含めて、ひとまとめに確かめてもらうところから始めてみてください。
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衣裳敷を広げてから現金までの4つの場面
申し込みから受け取りまで、実際に体を動かすのは40分程度。申し込みに3分、訪問日の査定に30分前後。残りは待つだけの時間です。段取りを先に知っておけば、身構えずに来てもらえます。

STEP1 たとう紙の枚数を申告する(3分)
知らせるのは氏名・住所・連絡先と、たとう紙がおよそ何枚あるかという情報だけ。「訪問着が2枚と袋帯が3本」といったおおまかな申告で足ります。撮影も採寸も不要です。
この機会に、評価のつかない品を処分してもらえるかどうかも聞いておくと安心です。
STEP2 紙を探す日数をみて訪問日を決める(申し込み後すぐ)
折り返しの連絡で日時を詰めます。早ければ当日、混み合う時期でも数日以内が目安。女性の担当を希望するなら、この電話で伝えます。
桐箱の底や紙袋の中をあらためるなら、少し先の日を取りましょう。当日までにたとう紙を取り出しやすい場所へ移しておくと、査定が滞りません。
STEP3 絵羽づけと落款を確かめてもらう(30分前後)
担当の人が1枚ずつ広げ、縫い目をまたぐ柄の続き方・素材・寸法・落款を順に確かめます。あらかじめ探しておいた証紙は、このタイミングで手渡しましょう。
その数字が出た根拠も説明してもらえます。腑に落ちない箇所は遠慮なく質問して構いません。玄関の外で終えたい場合も、希望を告げれば聞き入れてもらえます。
STEP4 売る1枚と残す1枚を分ける
提示された数字でよければ、その場で現金か振込で受け取れます。母の1枚だけ手元に置いて帯と草履を売る、という分け方でも構いません。
合わなければ、まるごと見送っても差し支えありません。費用は発生せず、契約から8日以内なら解消もできます。4段階を通しても、こちらの実働は1時間に満たない計算です。和装を扱う店を探して往復する労力に比べれば、負担はずいぶん軽く収まります。
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たとう紙に入れたまま、たんすの中身をまとめて見てもらえます。
出張料・査定料・キャンセル料は0円。
証紙が見つからなくても、シミや色褪せがあっても査定できる場合があります。
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※ キャンペーンは出張買取で1回5,000円以上の成約が条件、毎月最大30名への抽選です。契約書を受け取った日から8日間クーリングオフができます。値段がつかなかった品の無料引き取りはありません。訪問できる日時は地域と混雑状況によって変わります。キャンペーンは毎月実施の抽選制で、予告なく変更・終了する場合があります。
訪問着の買取でよくある質問
最後に、訪問着を手放す前に判断がつきにくい点を挙げておきます。出す前の下調べに役立ててください。
- 訪問着と付け下げでは、どちらが高く売れますか?
-
おおむね訪問着のほうが高くなります。
縫い目をまたいで柄をつなぐ絵羽づけのぶん、手間も格も上だからです。ただし作家物の付け下げなら、銘のない訪問着を上回ることもあります。
- 身丈が150cmしかありません。それでも値はつきますか?
-
つきますが、金額はひと回り下の帯に寄ります。
今の平均的な体格では着られず、仕立て直しに数万円かかるためです。ただし作家物や産地の証紙が残る1着なら、寸法の不利を超えて評価されます。生地としての引き取り先もあるので、自己判断で捨てないでください。
- 近所の総合リユース店に訪問着を持ち込めますか?
-
いいえ、和装を取扱の対象から外している店が大半です。
大手のチェーンは、和装を扱わないと公式に掲げています。呉服を扱う店へ持参するか、宅配や訪問に応じる業者へ声をかけるほうが確かです。
- 値段がつかなかった訪問着は、持ち帰ってもらえますか?
-
引き取りに応じるかは、業者ごとに方針が違います。
ただで引き受けてくれるところもあれば、断られて手元へ戻るところもあります。依頼する段階で確かめておけば、持ち帰る羽目を避けられます。引き取りが叶わなければ、供養か自治体のごみが次の行き先です。
- シミがある訪問着は、洗ってから出した方がいいですか?
-
いいえ、そのままの姿で出すほうが無難です。
丸洗いに数千円から1万円かかる一方、その額が上乗せされるとは限りません。洋服専門の店に預けると、金彩や刺繍を傷める心配も残ります。
- 証紙も落款も見当たりません。値段はつきますか?
-
はい、正絹で状態がよければ数千円からつきます。
紙がなければ産地や作家を示せず金額は下がりますが、生地の質や技法は現物から判じられます。落款は衽や衿先に小さく押されているので、出す前にもう一度あらためてみてください。
- どの業者に頼めばよいか、見分ける目安はありますか?
-
古物商許可の表示と、買取の実例を金額つきで出しているかどうかです。
訪問の際に身分証や許可番号を示し、書面を残す業者なら安心して任せられます。数字に承知できなければ、2社ほど相談してから決めても構いません。
- 家に上がられたあとで、断れなくなりませんか?
-
いいえ、数字に納得がいかなければ費用なしで断れます。
売る1枚と残す1枚は個別に決められ、あらためてもらうだけなら費用は生じません。住まいで結んだ訪問買取の契約は、8日のうちであれば解消できます(一部の品目を除く)。
訪問着の買取で押さえておきたい要点
ここまでの話を、決めるときの目安として整理しました。たんすの訪問着の扱いに迷ったら、この項目をたどってみてください。
- 銘のない正絹は3,000〜10,000円、古典柄で状態がよければ15,000円まで
- 刺繍・絞り・金彩が入った1着は13,000〜50,000円の帯
- 加賀友禅・京友禅は30,000〜80,000円、人間国宝なら10万円超も
- 誂えた値段の5分の1から10分の1が中古の目安。40万円の1着なら4万〜8万円
- 縫い目で柄がつながれば訪問着、途切れていれば付け下げ
- 身丈155cm未満は着られる人が限られ、160cm・裄66cm以上ならひと回り上がる
- ポリエステルや広範囲のカビ・黄変は買取不可か数百円どまり
- 安いのは着る機会の細り・寸法と柄行きの縛り・売り先が国内店頭に限られること
- 落款と証紙を探して一緒に出す。自分で洗いに出さない
- 帯・和装小物まで一式で出すと総額が伸びる。一式13,000円という実例もある
- 値のつかない品は供養(郵送で箱単位3,000円前後)・仕立て直し・可燃ごみが行き先
- 式の増える春秋の手前が出しどき。一式で出すなら訪問で来てもらう
1枚ごとの数字に振り回されるより、たんすの中身をどう束ねるかで考えたほうが迷いは減ります。紙を掘り出し、帯や小物とまとめてあらためてもらう。それだけで手取りが動きます。
誂えた訪問着は、着てくれる人がいるうちに手放そう
訪問着の見切りどきは、招ばれる席がもう思い当たらなくなった時です。子どもの入学式も卒業式も終わり、法事も義理の兄が仕切るようになった。そう気づいた年が、たんすを開ける口実になります。
寝かせても得はしません。絹は湿気を吸い込み、置いた年数だけ折り目に難が出ます。柄行きの好みも十年単位で移ろうもの。着物が動くのは式の多い春と秋なので、その手前に声をかけておくと話が早く進みます。
とはいえ、仕立てた時の反物代を思い出すと、袋に入れる手は止まります。誂えの1着には、選んだ日のやり取りまで一緒にしまわれているものです。だからこそ、袖を通してくれる相手へ橋を渡す道を探したい。次の持ち主が決まると分かれば、迷いはずいぶん軽くなります。
桐だんすの一番下を引き出す用事は、そう何度も起きません。訪問着だけでなく、帯も草履も襦袢も同じ日にまとめて見てもらえます。値が読めない1着ほど、お金のかからない査定で答えを出してしまいましょう。あなたの家の整理が、気持ちよく片付くことを願っています。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
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出張料・査定料・キャンセル料は0円。
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