「タンスの奥から出てきたこの着物、訪問着でも留袖でもないみたい……」。実家の整理でよく出てくるのが、付け下げと小紋です。
2枚の値段は、思っている以上に離れています。付け下げは2,000〜26,000円、小紋は数百円〜10,000円前後が中心。ただし江戸小紋や作家物の小紋になると、3万円台の買取実績もあります。
分かれ目になるのが着物の格です。付け下げは訪問着に近い準礼装、小紋は普段着。用途の広さがそのまま次の買い手の数につながり、金額に跳ね返ります。
やっかいなのは、遠目に無地に見える地味な1着ほど値が張ることがある点。江戸小紋の鮫柄などは、素人目にはただの薄い灰色の着物にしか見えません。価値が分からないまま処分してしまうのが、この2種類で一番惜しい失敗です。
そして着物は、和装を扱う店を探すところから始まります。たとう紙を何枚も抱えて店を回る前に、自宅で見てもらえる出張買取も並べて比べてみてください。
この記事では、付け下げ・小紋それぞれの買取相場から、値段が伸びない理由、買取を断られる条件、出す前のひと手間、値がつかなかった時の手放し方までまとめました。読み終える頃には、手元の1着をどこへ出すべきかの見当がついているはずです。
この記事を読んでわかること
- 付け下げ・小紋の種類別の買取金額の目安
- 江戸小紋の三役・五役と「極」が高く評価される理由
- 縫い目の柄で分かる付け下げと訪問着の見分け方
- 小紋の買取金額が伸びにくい3つの理由
- 買取を断られやすい条件と、金額を上げる5つのポイント
- 値段がつかなかった時の手放し方と、店頭・宅配・フリマ・出張の使い分け
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付け下げ・小紋の買取相場|種類と作り手で分かれる買取金額
買取金額の目安は、付け下げが2,000〜26,000円、小紋が数百円〜10,000円前後です。ここに作り手の名前が加わると、どちらも数万円の帯に入ります。着物全体の値段の付き方は着物買取の相場にまとめていますが、付け下げと小紋は「格の違い」がそのまま金額差になる組み合わせです。まず全体像から見ていきます。
| 区分 | 買取金額の目安 |
|---|---|
| ポリエステル・ウールの小紋 | 買取不可〜2,000円 |
| 一般的な正絹の小紋 | 2,000〜10,000円 |
| 付け下げ(銘なし・正絹) | 2,000〜6,000円 |
| 京小紋・加賀小紋など色柄物 | 5,000〜20,000円 |
| 付け下げ(作家物・伝統工芸品) | 10,000〜80,000円 |
| 江戸小紋・作家物の小紋 | 5,000〜50,000円超 |
下限と上限で100倍近い開きがあります。素材と作り手の名前、この2つで自分の1着がどのあたりに入るかが決まると思ってください。種類ごとに順に見ていきます。

付け下げの買取相場は2,000〜26,000円|作家物なら数万円
銘のない付け下げは2,000〜6,000円、作家物や伝統工芸品の指定があれば10,000〜80,000円が目安です。付け下げは訪問着を簡略にした準礼装で、入学式や結婚式の招待客、お茶席まで幅広く着られます。着る場面が多いぶん、留袖より買い手が見つかりやすい種類です。
| 仕様・銘 | 中古の売値相場 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 正絹・銘なし・状態良 | 6,000〜15,000円 | 2,000〜6,000円 |
| 落款あり・金彩やぼかしの入ったもの | 30,000〜60,000円 | 15,000〜26,000円 |
| 有名作家・伝統工芸品の指定あり | 60,000〜150,000円 | 20,000〜80,000円 |
| シミ・変色が目立つもの | 2,000〜6,000円 | 買取不可〜2,000円 |
実際の取引例を見ると、落款の入った風神雷神柄の付け下げに26,000円、佐野正喜の器物文に金彩とぼかしを重ねた1着に40,000円という金額がついています。作り手が特定できるかどうかで、桁がひとつ動くと考えて差し支えありません。
もうひとつ知っておきたいのが、訪問着との境目。訪問着は縫い目をまたいで柄がつながる絵羽模様、付け下げは反物のまま染めるので縫い目で柄が切れます。査定でどちらと判定されるかで金額が変わるため、たたんだ状態のまま持っていくのが正解です。絵羽模様のほうだと分かっているなら訪問着の買取相場が当てはまります。

江戸小紋・作家物の小紋は5,000〜50,000円超になることも
小紋の中で例外的に高いのが江戸小紋です。状態が良ければ5,000〜50,000円超、人間国宝の作なら6万円を超えた例もあります。遠目には無地に見えるほど細かい単色の文様で、もとは武士の裃に使われた格式のある染めだからです。
中でも鮫・行儀・角通しの3つは「江戸小紋三役」と呼ばれ、別格の扱い。ここに縞と大小あられを加えた5つを五役と呼びます。一つ紋を入れれば略礼装として式典にも着られるため、普段着の小紋とは需要の幅が違います。
| 作り手・柄 | 買取金額の目安 |
|---|---|
| 小宮康孝(江戸小紋・人間国宝) | 24,000〜60,000円超 |
| 中村勇二郎(伊勢型紙・人間国宝) | 15,000〜25,000円 |
| 三役(鮫・行儀・角通し)で状態良 | 10,000〜30,000円 |
| 銘のある江戸小紋・証紙あり | 5,000〜20,000円 |
| 銘なし・柄が粗い江戸小紋 | 1,000〜3,000円 |
金額を左右するのが、文様の細かさです。柄の名前に付く「極(きわみ)」は点や筋がとりわけ細かいことを表し、3cm四方に900以上の点を彫り込んだ極鮫や極通しは、職人でも限られた人しか彫れません。地味に見える着物ほど高い、という逆転が起きるのはこのためです。
手持ちが江戸小紋かどうかは、生地を明るい場所で近づけて見れば分かります。無地に見えたのに細かい点や筋が並んでいたら、処分の前にその1着だけでも見てもらう価値があります。

京小紋・加賀小紋・紅型など色柄の小紋は5,000〜20,000円
色数の多い産地物の小紋は、5,000〜20,000円の帯に入ります。京友禅の技法を型染めに取り入れた京小紋、加賀友禅の流れをくむ加賀小紋、沖縄の紅型。いずれも江戸小紋より柄が大ぶりで華やかです。
| 産地・技法 | 中古の売値相場 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 京小紋(証紙あり・多色) | 15,000〜40,000円 | 5,000〜15,000円 |
| 加賀小紋(無形文化財の指定あり) | 25,000〜60,000円 | 10,000〜20,000円 |
| 紅型小紋(琉球紅型の証紙あり) | 30,000〜80,000円 | 10,000〜30,000円 |
| 花織・上布など希少な織りの小紋 | 40,000〜80,000円 | 20,000〜38,000円 |
| 産地の証紙がない色柄の小紋 | 4,000〜10,000円 | 1,000〜3,000円 |
表の最下段に注目してください。産地物でも証紙がなければ、ただの色柄の着物として扱われます。買取専門店の実績にも、花織の袷に23,000円、貴久樹の平織に38,000円という例があり、いずれも織りと産地が特定できたからこその金額です。
証紙は反物の端に貼られた小さな紙で、仕立てる時に外して購入者へ渡されます。たとう紙の中や桐箱の底、購入時の袋の中を探してみてください。証紙で産地をたどる考え方は紬の買取相場のほうがさらに徹底しています。
一般的な正絹の小紋は2,000〜10,000円が中心
作家名も産地の証紙もない正絹の小紋は、2,000〜10,000円が中心です。普段着として一番多く仕立てられた種類なので、中古市場に品数があふれています。数が多ければ1点あたりの評価は下がる、という素直な理屈です。
| 状態・仕様 | 中古の売値相場 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| 正絹・しつけ糸つきの未着用 | 12,000〜25,000円 | 6,000〜10,000円 |
| 正絹・着用数回・シミなし | 6,000〜12,000円 | 2,000〜5,000円 |
| 身丈160cm・裄66cm以上の大きめ | 10,000〜20,000円 | 5,000〜8,000円 |
| 薄い汚れ・八掛の変色あり | 2,000〜5,000円 | 500〜1,500円 |
3行目の寸法も見逃せません。昭和の仕立ては身丈150cm前後・裄64cmほどが標準で、現代の背格好には小さすぎます。裄が66cmを超える大きめの1着は、それだけで着られる人が増え、金額もひと回り上がります。
しつけ糸が残ったままの未着用品も同じ。「いつか着よう」としまい込んだまま袖を通していない1着は、この種類の中では上限に近い評価がつきます。

ポリエステル・ウールや状態の悪い小紋は買取不可〜2,000円
ポリエステルやウールの小紋は、買取不可か2,000円までが現実です。洗える着物として大量に作られたぶん中古が余っていて、引き取り手がほとんどいません。正絹でも汚れが目立てば同じ帯に入ります。
| 素材・状態 | 中古の売値相場 | 買取金額の目安 |
|---|---|---|
| ポリエステルの小紋 | 1,500〜4,000円 | 買取不可〜500円 |
| ウール・ウール混の小紋 | 1,000〜3,000円 | 買取不可 |
| 正絹だが黄変・カビが広範囲 | 1,000〜3,000円 | 買取不可〜1,000円 |
| 未仕立ての正絹の反物 | 15,000〜35,000円 | 7,000〜18,000円 |
意外なのが最下段です。まだ縫っていない反物のままの正絹は、誰の寸法にも合わせていないぶん需要があり、仕立て上がりより高く評価されます。「いつか小紋に仕立てよう」と買ったきりの1本があれば、優先して出したいところ。
ここまでをまとめると、金額を決めるのは素材・銘と証紙・寸法・状態の4点です。手持ちの見当がついたら、次はなぜ小紋全体の金額が控えめになるのかを押さえておきましょう。
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付け下げより小紋が安くなる3つの理由
同じ正絹でも小紋が付け下げより安いのは、店の対応が渋いからではありません。着物の格、流通している数、そして品物を売りさばく先。この3つが重なった結果です。理由が分かれば、どこへ出すと差が出るのかも見えてきます。
小紋は普段着で、着ていける場が限られる
着物には格があり、上から礼装・準礼装・外出着・普段着と並びます。付け下げは準礼装で、結婚式の招待客やお茶席、入学式にも着ていけます。
一方の小紋は普段着から外出着。観劇や食事会には向きますが、あらたまった席には着ていけません。着物を買う人の多くは「式に着る1着」を探しているため、需要そのものが細くなります。
数が多く、中古市場で品薄になりにくい
小紋は反物のまま同じ柄を繰り返し染められるので、手描きの訪問着に比べて生産数が桁違いです。昭和の頃はよそゆきとして各家庭に何枚もありました。
その量がいま一斉に中古市場へ出ています。品数が豊富なぶん買い手は選び放題で、状態が並の1着はどうしても後回し。証紙や落款のある品だけが値を保っているのは、そこが理由です。
総合リユース店は和装を扱わず、扱っても専門の目がない
近所で真っ先に思い浮かぶ総合リユース店は、そもそも和装を取扱対象外にしていることが多い業態です。大手チェーンでは公式に和装が買取不可と示されていて、紙袋に詰めて運んでも受付で戻されます。
受け付けてくれる店でも、金額が伸びにくい事情があります。総合リユース店が品物を売る先は自分の店の売場。国内の棚で売り切れる価格から逆算するため、買取金額の上限が最初から低く決まります。
そのうえ服も家電も扱う以上、査定は相場表とマニュアルが基本です。江戸小紋の三役を見分けたり、落款から作家を特定したりする担当者はまずいません。同じ1着でも店によって金額が数倍変わるのは、この目利きの差から生まれます。
着物を専門に扱う業者は、国内の愛好家に加えて海外や仕立て直しの流通ルートを持っています。売り先が広いぶん、買取金額の上限も高く取れます。小紋が安くなるのは品物の価値そのものではなく、どこへ流れるかで決まる。そう考えると、出し先選びが手取りの大半を握っていると分かります。
付け下げ・小紋が買取不可になる5つの条件
正絹でも引き取りを断られることがあります。多いのはカビ、黄ばみ、そして素材。出す前に確かめておけば、たとう紙を抱えて往復する手間を防げます。次の5つに当てはまらないか見てみてください。
- 折り目に沿って白い粉のようなカビが浮いている
- 衿もと・袖口・裾に茶色い変色(黄変)が広がっている
- ポリエステル・ウールなど正絹以外の素材
- 虫食いの穴、八掛の破れ、ほつれがある
- 寸法直しで生地を切り落としてある、または一度ほどいてある
やっかいなのはカビです。湿気の多い場所でたたんだまま何年も置くと、折り目に白い粉が浮きます。生地の奥まで菌糸が入ると洗っても落ちず、仕立て直しても再発するため、引き取りを見送る業者が多くなります。
黄変も同じ扱い。皮脂や汗が酸化して茶色く浮いたしみは、通常のしみ抜きでは戻りません。専門の色補正で直せるものの、1か所で数千円から1万円ほどかかり、小紋の買取額を軽く超えてしまいます。
とはいえ、当てはまったからといって価値がゼロと決まったわけではありません。江戸小紋の三役や産地の証紙がある1着なら、多少の難があっても引き受ける業者はあります。捨てると決める前に、まず紙と落款を探す。それがこの2種類での分かれ道です。
付け下げ・小紋の買取金額を上げる5つのポイント
出し方を少し工夫するだけで、手取りは数千円動きます。難しい下ごしらえは要りません。証明できる紙をそろえ、余計な手を加えず、一式で調べてもらう。この3つが軸で、実際の手順は5つに分かれます。順に説明します。

反端・証紙・落款をそろえてから申し込む
数字をもっとも動かすのが証紙です。産地や織り手を示す紙で、これ1枚の有無で同じ小紋が数倍変わります。仕立てる際に切り落とした反物の端切れ(反端)が残っていれば、それも添えてください。
落款は生地に直接押された小さな印です。衽や衿先にあるので、たたんだまま端をめくれば見つかります。読み取れなくても構いません。担当者が見れば作り手までたどり着けます。
江戸小紋かどうかを申し込みの時点で申告する
無地に見える1着ほど、先に申告しておく意味があります。「細かい点が並んでいて、遠目には無地に見える着物がある」と申し込みの段階で伝えれば、和装にくわしい担当者を回してもらいやすくなります。
柄の名前まで分からなくても差し支えありません。鮫・行儀・角通しの三役かどうかは、その場で調べてもらえます。
自分でクリーニングに出さない
よかれと思って洗いに出すのは、小紋では割に合いません。丸洗いに数千円かかる一方、同じだけ数字が上がる保証はなく、差し引きすると手取りが減ります。
洋服専門の店に預けて型崩れや色落ちが起きれば、値打ちのほうが下がります。汚れは口で伝えるだけで十分。和装を扱う業者は、自前で直せる範囲を織り込んで数字を出します。
帯・羽織・襦袢をひと組にして調べてもらう
1着を単体で出すより、一式そろえたほうが総額は伸びます。名古屋帯や袋帯、羽織、帯締めも買取の対象で、着物より帯のほうが高くつくことも珍しくありません。
そろっていれば、受け取った人がそのまま袖を通せる一式になります。同じタンスに眠っている品は、一度に出してしまいましょう。
たとう紙を替えて風を通しておく
茶色く変色したたとう紙は、湿気を吸い込んだ証拠です。新しい紙に替えるだけでも、保管の印象が変わります。
訪問の数日前に、風の通る部屋で半日ほど陰干しを。防虫剤のにおいが軽くなり、折りジワも落ち着きます。日なたに出すと色が抜けるので気をつけましょう。証紙をそろえ、余計な手を加えず、一式で出す。この3点だけで手取りは確実に動きます。
値段がつかなかった小紋の行き先|リメイク・寄付・ごみ
値のつかない着物には、リメイク・寄付・自治体のごみという行き先があります。その前に押さえておきたいのが、買取にならなかった品をそのまま引き取ってもらえるかどうかは業者ごとに違うという点。無償で持ち帰るところもあれば、断られて手元に戻るところもあります。
持ち込んで断られると、また抱えて帰ることになります。申し込みの段階で「値のつかなかった品も引き取ってもらえますか」と確かめておけば安心です。故人の衣類をまとめて整理する場合は、遺品買取で売れるものの一覧も合わせて見ておくと、家中の品を一度で片付けられます。
ほどいて小物や洋服に作り替える
小紋は全体に柄が入っているので、どこを裁っても模様が出ます。バッグ、日傘、ワンピース、テーブルセンターと、生地として使いやすい種類です。
仕立て屋に頼めば数千円から数万円かかりますが、母の1着を形を変えて手元に残せます。ただし証紙や落款のある品に鋏を入れるのは惜しい選択。先に数字を確かめてからにしてください。
寄付やリサイクルの団体に譲る
着られる状態なら、着付け教室や福祉の団体、海外へ衣類を送る団体が受け入れている場合もあります。ポリエステルの小紋は洗えて扱いやすく、稽古用として重宝されます。
送料は自己負担になるのが通例で、団体によって受け入れの条件も違います。カビや破れのある品は断られるため、送り出す前に問い合わせを。
市町村の可燃ごみへ回す
傷みがひどく作り替えにも回せない品は、自治体のごみに出せます。着物は衣類・布の扱いになり、たいていの市町村が可燃ごみで受け付けます。
負担は袋代のみ。呼び方は地域によって異なるので、お住まいの市町村の案内で確かめましょう。とはいえ古びて見えても、たとう紙に証紙が挟まっていれば事情が変わります。処分の前に一度調べてもらえば、悔いを残さずに済みます。
付け下げ・小紋はどこへ申し込むか|4つの方法を比べる
選べるのは店頭・宅配・フリマ・出張の4つ。枚数と手間のかけ方で決まります。1〜2着なら店頭、数着なら宅配、タンスごと片付けるなら出張。それぞれの得手不得手を整理しました。
| 売り方 | 手間 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 店頭買取 | 店を探して運ぶ | 着物店が近くにあり1〜2着だけ |
| 宅配買取 | 詰めて送る | 数着まとめて・急がない |
| フリマアプリ | 撮影・梱包・購入者対応 | 手間をかけても高く売りたい |
| 出張買取 | 申し込んで待つ | タンスごと・帯や羽織も一緒に |
店頭は和装を扱う店が近くにあるかで決まる
持参した日に数字が出て、承知すれば現金で受け取れます。1着だけ短時間で片付けたい場面には向いた道です。

厄介なのは、受け付ける店が限られること。総合リユース店では和装を受け付けないため、呉服店か和装も買い取る業者の店舗を探すことになります。たとう紙は思いのほかかさばり、数着を電車で運ぶとなると相当な労力です。
数着を箱に詰めて送るなら宅配
着物を扱う業者はたいてい宅配にも対応し、梱包用の資材を無料で送ってくれます。箱に詰めて集荷を呼べば、家を出ずに調べてもらえます。
留意したいのは、数字の連絡までに数日を要する点と、断った時の返送です。折り方が変わって戻ることもあり、業者によっては返送の運賃が自己負担になります。落款のある1着なら、目の前で広げてもらったほうが腑に落ちるでしょう。
フリマアプリは送料と手数料で手取りが痩せる
自分で値を決められるのがフリマの魅力です。ただし小紋はたとう紙ごと包むと80サイズ前後になり、送料と販売手数料10%が差し引かれます。
| 配送方法 | サイズの目安 | 送料 |
|---|---|---|
| 宅急便 60サイズ | 三辺60cm・2kg | 750円 |
| 宅急便 80サイズ | 三辺80cm・5kg | 850円 |
| 宅急便 100サイズ | 三辺100cm・10kg | 1,050円 |
4,000円で売れたとして、送料850円と手数料400円が引かれて残るのは2,750円ほど。しかも着物は状態を言葉にするのが難しく、写真に写らなかった薄いしみを理由に返品や値引きを求められることもあります。採寸して撮影して梱包して、と1着あたり半日は費やす計算です。
タンスごと片付けるなら出張を申し込む
小紋や付け下げが1枚だけで出てくることは、まずありません。帯も羽織も襦袢も一緒なら、来てもらう売り方が実情に合います。担当者が自宅を訪ね、その場で1点ずつ調べて数字を出します。運ぶ必要も、写真を撮る必要もありません。
自宅まで来る買取サービスは数多くありますが、当記事が付け下げ・小紋に挙げているのは「福ちゃん」です。付け下げと小紋それぞれの買取ページを構え、金額つきの実例を並べているためです。強みの中身はこちらで詳しく触れます。
1〜2着なら店頭、数着なら宅配、タンスを空けるなら出張。付け下げと小紋は他の和装と抱き合わせで眠っている場合が多く、束ねて調べてもらう進め方が労力と見合います。
付け下げも小紋もまとめて手放すなら福ちゃんの出張買取
和装をまとめて整理するなら、自宅まで来る福ちゃんが候補になります。着物は主力の取扱カテゴリで、付け下げも小紋もそれぞれ専用ページと実例が並んでいます。申し込んだ人の感想は、福ちゃんの評判は悪い?口コミでわかった良い点・悪い点で良い面も気になる面も取り上げました。決める前に目を通しておくと判断が定まりやすくなります。まずは家から出ずに済む売り方の中身から押さえておきます。

家から出ずに申し込める仕組みと、断るときの決まり
担当者が自宅まで足を運び、その場で品を調べたうえで買い取ります。たとう紙を抱えて店を探すことも、1着ずつ撮影して出品することもありません。申し込みはWebと電話、それにLINE。来てもらうだけなら費用は生じず、日程が空いていれば当日中に回ってもらえます。
とはいえ「室内に通したら断れなくなるのでは」と警戒する人もいるはずです。納得しないまま手放さずに済む取り決めが、次のように用意されています。
- 示された数字に承知できなければその場で断ってよく、調べてもらうだけなら請求はされない
- 売る1着と残す1着は分けて決められる。思い入れのある1着だけ手元に置く選び方も通る
- 来てもらう費用も調べてもらう費用も、やめた場合の費用も、振込の手数料も生じない
- 自宅で結んだ訪問買取の契約は、書面を渡された日から8日以内なら理由を問わず取り消せる(一部の品目を除く)
「解約はできません」と言う業者は決まりに背いているので、その場で見送って構いません。白紙に戻せると知っていれば、申し込むハードルはぐっと下がります。では福ちゃんが付け下げ・小紋とどう噛み合うのか。中身を見ていきます。
福ちゃんが付け下げ・小紋の整理に向いている理由
付け下げと小紋それぞれに買取ページを設け、金額つきの実例を並べているのが特徴です。付け下げでは落款のある風神雷神柄に26,000円、佐野正喜の器物文に40,000円。小紋では貴久樹の平織に38,000円、花織の袷に23,000円。柄と作り手を読み取ったうえでの数字です。噛み合う点を挙げると、次のとおりです。
- 自社の売り先で値をつける:国内の店頭だけに頼らないため、総合リユース店で値のつかない普段着の和装にも数字を出せる
- 累計800万点・19の取扱カテゴリ:帯や和装小物に加えて、食器・骨董品・貴金属まで同じ日に調べてもらえる
- 女性の担当を指名できるレディースプラン:昼間に一人で在宅する時間帯でも申し込みやすい
- 社名を出していない車で来る:ご近所に買取と勘づかれずに済む
手がけている会社は株式会社REGATE。古物商の許可を得ており、プライバシーマークの認定も受けています。全国47都道府県が対象で、1点からでも手数料なしに来てもらえます。

タンスを開けたら小紋も帯も襦袢も出てきた、という時こそ出番です。値がつくか読めない品も含めて、まとめて調べてもらうところから始めてみてください。
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畳紙の山を一度に見せる4つの場面
申し込みから現金を手にするまで、実際に体を動かすのは40分程度。申し込みが3分、訪問当日の査定に30分前後。あとは待っているだけで終わります。手順を先に押さえておけば、構えずに申し込めます。

STEP1 「小紋と付け下げが数着」と種類を伝える(3分)
知らせるのは氏名・住所・連絡先と、手放す品の種類だけ。「小紋と付け下げが数着、帯も何本か」という程度の伝え方で足ります。写真も寸法の測定も要りません。
あわせて、評価に至らなかった品を処分してもらえるかどうかも確認しておきましょう。
STEP2 反端を掘り出す日数を見て訪問日を決める(申し込み後すぐ)
折り返しの電話で日時を詰めていきます。空いていれば当日、繁忙期でも数日のうちには収まります。女性の担当を頼みたいなら、ここで申し出ておきましょう。
反端や証紙を探すつもりなら、日程に余裕を持たせておくこと。当日までにたとう紙を出しやすい場所へ移しておけば、進行が止まりません。
STEP3 柄と落款を1点ずつ調べてもらう(30分前後)
担当者が1点ずつ広げ、素材・柄・寸法・落款・状態の順に調べていきます。用意しておいた証紙や反端は、ここで渡してください。
その額が出た根拠も説明してもらえます。腑に落ちない箇所は遠慮なく質問してください。室内に入られたくない場合は、玄関先での対応を希望すると伝えれば聞き入れてもらえます。
STEP4 売る1着と手元に置く1着を選ぶ
提示された額でよければ、その場で現金か振込を受け取れます。売る品と残す品は1点ずつ選べます。
気に入らなければ、まとめて見送っても問題ありません。料金は発生せず、契約から8日以内であれば取り消しも可能です。4段階を通しても、実働は1時間に満たない計算。店を探して往復する手間を思えば、負担ははるかに小さく収まります。
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付け下げ・小紋の買取でよくある質問
この2種類を手放す前に、判断に迷いやすい点を最後にまとめました。申し込む前の確認に使ってください。
- 付け下げと訪問着は、どうやって見分けますか?
-
縫い目で柄がつながっているかどうかで判別できます。
訪問着は縫い目をまたいで模様が続き、付け下げは縫い目で柄が切れます。格は訪問着が上で、買取の数字も訪問着のほうが高め。柄合わせを訪問着に寄せた「付け下げ訪問着」もあり、その場合は付け下げより高く評価されます。
- 無地に見える地味な小紋でも数字はつきますか?
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はい、江戸小紋なら高く評価される場合があります。
細かい点や筋が一面に並んでいれば江戸小紋の見込みがあります。鮫・行儀・角通しの三役は格が高く、状態しだいで数万円に届きます。
- 寸法が小さい小紋や、シミのある小紋も申し込めますか?
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はい、申し込んで構いません。数字がつく場合もあります。
身丈の短い1着でも、生地や証紙に値打ちがあれば仕立て直しの材料として評価されます。小さなシミも同じで、直せる範囲かどうかは業者の判断です。自分で線を引かず、束ねて調べてもらうほうが取りこぼしません。
- 着物にくわしい業者かどうかは、どこで見分けますか?
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古物商の許可番号と、着物の買取実例が公開されているかどうかです。
買取の商いには都道府県公安委員会の古物商許可が必要で、番号はサイトに明記されています。あわせて、訪問の際に本人確認と書面の交付があるか、その場で契約を急かさないかも確かめましょう。迷ったら2社に相談して数字を見比べれば判断がつきます。
- 近所の総合リユース店に持ち込めますか?
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いいえ、和装を対象外としている店が大多数です。
大手のチェーンは、和装を買取不可と公式に示しています。呉服店へ持参するか、宅配や訪問に応じる業者へ声をかけるほうが確かです。
- 値段がつかなかった着物は引き取ってもらえますか?
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処分まで引き受けるかどうかは、業者ごとに対応が割れます。
無償で持ち帰る先もあれば、断られて手元に戻る先もあります。申し込みの時点で確かめておけば、抱えて帰る羽目を避けられます。引き取ってもらえないなら、作り替えか可燃ごみが次の行き先です。
- ポリエステルの小紋も申し込んでよいですか?
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申し込んで構いませんが、数字はほとんど期待できません。
買取不可か数百円が実情です。ただし正絹と混ざっていると素人目には判別しづらいため、束ねて調べてもらうほうが取りこぼしません。
- 上がってもらったら、その流れで手放す羽目になりませんか?
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いいえ、示された額に不満があれば無料で断れます。
売る1着と手元に残す1着は個別に選べ、調べてもらうだけなら料金は生じません。自宅で結んだ訪問買取の契約は、書面を渡された日から8日以内なら取り消せます(一部の品目を除く)。
付け下げ・小紋の買取で押さえておきたい要点
ここまでの内容を、判断の目安としてまとめ直しました。タンスの1着をどうするか決めかねたら、この一覧を見返してください。
- 付け下げは2,000〜6,000円、作家物や伝統工芸品なら10,000〜80,000円
- ふつうの正絹の小紋は2,000〜10,000円が中心
- 江戸小紋は例外で、三役や人間国宝の作なら数万円に届く
- 無地に見える1着ほど、申し込みの段階で「細かい点が並ぶ」と申告しておく
- 京小紋・加賀小紋・紅型は証紙があれば5,000〜20,000円
- ポリエステル・ウールは買取不可〜2,000円どまり
- 縫い目で柄が切れれば付け下げ、またいでつながれば訪問着
- 安いのは普段着という格、出回った数の多さ、売り先の狭さが理由
- カビ・黄変・虫食い・寸法直しの切り落としは断られる条件
- 証紙・反端・落款をそろえ、自分でクリーニングには出さない
- 帯・羽織・襦袢とひと組にすると総額が伸びる
- 総合リユース店は和装が対象外。タンスごと片付けるなら出張を申し込む
1着ごとの数字に振り回されるより、どうまとめて出すかで考えたほうが迷いは減ります。紙を掘り出し、帯や羽織と一緒に調べてもらう。それだけで手取りが動きます。
よそゆきだった小紋は、着てくれる人がいるうちに手放そう
付け下げと小紋を整理するなら、袖を通す機会が消えた時が区切りです。絹は湿気を嫌い、タンスに納めた年月のぶんだけカビと黄変が広がります。「そのうち誰かが袖を通すだろう」と置いておくうちに、評価の対象から外れていきます。
母がよそゆきとして選び、お茶席や食事会に袖を通した1着。礼装ほど大げさではないぶん、その人の好みがそのまま表れている着物です。だからこそ、ごみ袋に入れるのはためらわれます。着物を好む誰かの手に渡ると知れば、送り出す決心もつきやすくなるはず。
実家のタンスを開ける機会は、そう何度も巡ってきません。付け下げや小紋に限らず、帯も羽織も襦袢も同じ日に調べてもらえる場面です。値がつくか読めない品こそ、まずはお金のかからない査定で確かめてみてください。タンスの片付けが心残りなく終わることを願っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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